2019年6月13日の国内債券市場では、長期金利の指標とされる新発10年物国債の利回りが、前日と変わらずマイナス0.120パーセントで取引を終えました。この「利回り」というのは、債券の表面的な利率に対して、購入価格や償還金額を加味した、投資家が実際に得られる収益の割合を示す数値で、金利の動向を測る上で非常に重要です。この日、日本の株式市場の代表的な指数である日経平均株価が値を下げたことを背景に、比較的安全な資産とされる国債への買いが先行し、市場は静かに幕を開けました。
しかし、一転してその後の取引では、30年物国債の入札が投資家の間で人気を集められず、低調な結果に終わったことで、市場には売りの動きが出始めました。入札とは、国が新たな国債を発行する際に、いくらの金利であれば投資家が購入するかを競わせる手続きのことです。市場の参加者からは、入札が行われる前に相場が上昇しすぎていたために、「これ以上の価格上昇は望めないのではないか」という高値警戒感が強まり、それが低調な入札結果につながったとの分析が出ていた模様です。
けれども、売りが一気に加速する事態は避けられました。その背景には、アメリカの**連邦準備理事会(FRB)**が、近いうちに政策金利を引き下げるのではないかという「利下げ観測」が市場全体を支配していたからにほかなりません。FRBとは、日本でいう日本銀行にあたるアメリカの中央銀行で、世界の金融市場に大きな影響力を持っています。この利下げ観測によって、グローバルに見ても金利が上昇しにくい環境が続いており、これが国内の債券市場にも波及して、国債の売り圧力は限定的となったのでしょう。
私の見解ですが、この日の値動きは、国債市場が極めて難しいバランスの上で成り立っていることを示しています。国内要因で売りが出ても、FRBの動向という世界的な金融政策の風向き一つで、その勢いが打ち消されてしまうのです。長期金利がマイナス圏にあるということは、投資家が国にお金を貸すために、むしろ手数料を払っているような状態であり、これは異例中の異例と言えます。この低金利環境は、資金調達の面では企業や国にとってメリットがありますが、銀行経営や年金運用などには極めて厳しい状況を強いることになります。
SNS上での反響を見ても、「またマイナス金利か。貯蓄していても意味がない」「年金が心配になる水準だ」「FRB頼みで日本の金利は決まってしまうのか」といった、将来の資産形成に対する不安の声や、海外の金融政策に大きく左右される日本の状況に対する懸念が多く見受けられました。2019年6月14日現在、市場はFRBの次の動き、そして日本の金融当局の対応に、強い関心を寄せていると言えるでしょう。長期金利がこのまま低い水準で膠着するのか、あるいはわずかなきっかけで変動するのか、今後の動向から目が離せません。
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