2019年09月18日、宮内庁は令和の御代代わりに伴う最重要儀式「大嘗祭(だいじょうさい)」で使用されるお米の収穫地、すなわち「斎田(さいでん)」を正式に決定したと発表しました。東日本を代表する「悠紀(ゆき)地方」からは栃木県高根沢町が、西日本を代表する「主基(すき)地方」からは京都府南丹市八木町が選出されています。大嘗祭とは、天皇陛下が即位後初めて新穀を神々に供え、自らも食して国家の安寧と五穀豊穣を祈る、一生に一度の極めて神聖な皇室行事なのです。
今回、この大役を担う耕作者「大田主(おおたぬし)」には、栃木県の石塚毅男さんと京都府の中川久夫さんが選ばれました。SNS上では「地元から選ばれるなんて誇らしい」「令和の歴史に刻まれるお米をぜひ食べてみたい」といった祝福と期待の声が溢れています。大田主は、単に技術が優れているだけでなく、地域農業のリーダーとしての信頼も厚い人物が務めるものであり、お二人の並々ならぬ努力が結実した結果と言えるでしょう。選ばれたお米は精米と玄米を合わせて約187.5キロが宮内庁によって買い上げられます。
栽培される品種は、栃木県が「とちぎの星」、京都府が「キヌヒカリ」に決まりました。とちぎの星は粒が大きく豊かな甘みが特徴で、キヌヒカリはその名の通り絹のような輝きとソフトな口当たりが魅力の逸品です。これらは各府県の農業協同組合中央会からの推薦を受け、厳正な審査を経て選ばれた究極のブランド米です。この決定は、単なる農産物の選定に留まらず、その土地の気候風土や伝統的な稲作文化が日本最高峰の儀式にふさわしいと認められた証でもあり、地域への経済効果も期待されています。
古来、斎田の場所は「斎田点定(さいでんてんてい)の儀」という亀の甲羅を焼いて占う伝統的な手法で決められてきました。2019年05月に行われたこの占いで栃木と京都が示され、今回の現地決定に至ったのです。私は、こうした1000年以上続く伝統が現代の最新技術で育てられたお米と融合する点に、日本文化の奥深さを感じずにはいられません。効率化が進む現代社会において、手間暇を惜しまず「聖なる一粒」を作り上げる大田主の姿は、私たちに食の尊さを改めて教えてくれるのではないでしょうか。
今後、稲穂の成長を見守りながら、収穫の儀式である「斎田抜穂(ぬきほ)の儀」の具体的な日程が定められる予定です。抜穂の儀は、古式ゆかしい装束に身を包んだ人々が鎌で一株ずつ丁寧に刈り取る、まさに絵画のような美しさを持つ儀礼となります。黄金色に輝く田んぼで、令和の平穏を願う祈りが捧げられる日はもうすぐそこまで来ています。日本中の注目が集まる中、収穫されたお米が11月の本番に向けてどのように届けられるのか、その動向から目が離せません。
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