2009年に国が始動させた「がん対策推進企業アクション」の勢いが加速しています。2019年に入り、このプロジェクトに参加する企業や団体が3000を突破したことが明らかになりました。この事業は、企業が従業員の健康を守り、もし病が見つかっても働き続けられる環境を整えることを目的としています。参加組織は、検診の受診を促す啓発資料や、治療と仕事を両立させるための先進的な成功事例といった貴重な情報を、すべて無料で受け取ることが可能です。
SNS上では「会社ががん対策に本腰を入れてくれるのは心強い」「検診を促すだけでなく、働き続けられる仕組みづくりは重要だ」といった前向きな反応が寄せられています。従業員にとっては、会社が自分の健康と人生に寄り添ってくれる姿勢が見えることは、大きな安心感につながるのでしょう。しかし、事務局によると参加企業の分布には、地域や業種によって大きな偏りがあるのが現状です。関係者は、すべての働く人が平等に支援を受けられるよう、さらなる参加を呼びかけています。
なぜ今、企業によるがん対策がこれほどまでに重要視されているのでしょうか。事務局の分析によると、働く世代のがん罹患(りかん)率は今後ますます高まっていくことが予測されています。罹患とは、特定の病気にかかることを意味する言葉です。その背景には、女性の社会進出が大きな要因として存在しています。新規のがん発生を男女別に比較すると、50代前半までは女性の方が多い傾向にあるため、この世代で活躍する女性が増えるほど、働きながら治療する方の数も増加します。
さらに、働く期間の長期化も大きな理由の一つに挙げられるでしょう。定年が延長され、シニア層が現場で活躍し続ける現代では、加齢に伴うがんの発症リスクも自ずと高まります。本事業は、早期発見のための「がん検診の啓発」、病への理解を深める「がん教育」、そして万が一の際も辞めずに済む「働き続けられる環境づくり」という三つの柱を掲げています。これらは現代のビジネスシーンにおいて、もはや避けては通れない最優先事項と言えるのではないでしょうか。
アドバイザリーボードで議長を務める東京大学の中川恵一准教授は、2009年の事業開始当初を振り返り、当初は大手企業でさえ反応が薄かったと明かしています。当時は「病気は自己責任」という考え方が根強く、業務上の事故である労働災害とは別物だと捉えられていたためです。しかし、人手不足が深刻化し、従業員一人ひとりが貴重な戦力となった今、その認識は劇的に変化しました。働き方改革の浸透も相まって、企業の責任として健康を支える文化がようやく芽吹いています。
個人的な見解としては、がん対策は単なる福利厚生ではなく、企業の持続可能性を支える重要な「リスクマネジメント」であると考えます。経験豊富なベテラン社員が病によって離職してしまうことは、企業にとって計り知れない損失です。特に中小企業においては、一人の欠員が経営に直結することもあります。だからこそ、大企業だけでなく、あらゆる規模の企業がこの輪に加わり、誰もが安心して働き続けられる社会を実現することが、これからの日本には不可欠でしょう。
中小企業への普及が鍵!未来の職場環境を支えるネットワークの拡大
現在の大きな課題は、参加団体の多くが大企業や健康保険組合に集中しているという点です。2019年9月20日の時点で、中小企業における取り組みの遅れが浮き彫りになっており、どのように支援を浸透させていくかが今後の正念場となるでしょう。リソースが限られる中小規模の組織こそ、無料で活用できる本事業のメリットは大きいはずです。一社でも多くの企業がアクションを起こすことで、働く人々の笑顔と企業の成長が守られることを切に願っています。
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