2019年09月20日に開幕したラグビーワールドカップ日本大会により、日本中が熱狂の渦に包まれています。最大40万人もの海外ファンが訪れると予想されるこのビッグイベントの裏側で、実はスポーツ界の歴史を塗り替える画期的な決定が下されました。国際競技連盟のワールドラグビーは、2019年08月、次回の2021年ニュージーランド大会から「女子」という冠を外すと発表したのです。今後は男子と同様に、シンプルに「ラグビーワールドカップ」という名称で統一されることになります。
この大胆な決断の背景には、言葉が持つ「ジェンダーステレオタイプ」を払拭したいという強い意志があります。ジェンダーステレオタイプとは、性別によって役割や能力を固定観念で決めつけてしまう偏見のことです。WRは「女子」という表現が、競技の質や価値が劣るかのような先入観を与える可能性を危惧しました。この名称変更により、スポンサー企業が男子チームばかりを優遇しがちな現状に一石を投じ、男女が対等に競技を追求できる環境を加速させようとしているのでしょう。
SNS上では「名称の統一はスポーツの平等に向けた大きな一歩だ」と賛同する声が上がる一方で、「女子スポーツとしてのアイデンティティはどうなるのか」といった議論も巻き起こっています。しかし、世界に目を向ければこの流れは止まりません。2019年の夏、女子サッカーワールドカップで連覇を成し遂げたアメリカ代表チームは、興行収入で男子を上回っているにもかかわらず報酬やプロモーション費用で不当な扱いを受けているとして、全米サッカー協会を相手取り訴訟を起こしました。
スポーツを通じたダイバーシティの進化と日本の課題
ひるがえって日本の現状はどうでしょうか。経済協力開発機構(OECD)の統計によれば、日本女性が運動に費やす時間は男性のわずか半分という驚きの結果が出ています。スポーツは心身の健康を保つための基本ですが、日本ではまだ「運動は男性が楽しむもの」という無意識の壁があるのかもしれません。スポーツ界における男女平等の実現は、単なる記録の競い合いではなく、社会全体の多様性(ダイバーシティ)を育むために避けては通れない最優先課題といえるでしょう。
そんな中、2019年09月に発足した新内閣で橋本聖子氏が五輪相兼女性活躍担当相に就任したことは、非常に象徴的な出来事です。彼女自身、日本女子初の冬季五輪メダリストとして道を切り拓いてきた開拓者であり、選手たちが置かれた厳しい現実を誰よりも理解しているはずです。大臣にとって、女性アスリートが正当な評価を受け、能力を存分に発揮できる環境を整えることは、自らの現役時代からの悲願であるに違いありません。
私は、この改革こそが「東京2020」の真のレガシーになると確信しています。2016年08月に開催されたリオデジャネイロ五輪では、参加選手の45%を女性が占めました。来年に控えた東京五輪ではその比率がさらに高まることが確実視されていますが、国際オリンピック委員会(IOC)は選手の数だけでなく、監督や役員といった「意思決定の場」にどれだけ女性がいるかを厳しくチェックしています。指導者層に女性が増えてこそ、スポーツ界の真のダイバーシティは実現するのです。
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