2019年10月12日の夕方から13日の未明にかけて、記録的な暴風雨を伴った台風19号が新潟県を襲いました。県内全域で甚大な被害が報告されており、信濃川や阿賀野川といった主要河川の氾濫は、私たちの生活基盤を大きく揺るがしています。県内で初めて「大雨特別警報」が発令された事実は、今回の災害がいかに異常な規模であったかを物語っているでしょう。
SNS上では、濁流に飲み込まれる田畑や浸水した住宅の画像が次々と投稿され、多くの人々が「信じられない光景だ」「一日も早い復旧を」と祈るような声を寄せています。阿賀町にある名門・麒麟山酒造では、阿賀野川の支流である常浪川の氾濫により、貯蔵庫が約90センチメートルも浸水する事態となりました。ここには一升瓶にして約5万本分もの原酒が眠っており、その安否が非常に危惧されています。
「麒麟山の酒が飲めなくなるのは辛い」というファンの悲鳴がネット上でも散見されますが、会社側は現在、懸命に商品の状態確認を進めているところです。出荷の目途は立っていませんが、酒造りの魂とも言える原酒が守られていることを願わずにはいられません。一方、農業へのダメージも深刻で、2019年10月16日現在の調査では、18市町で507ヘクタールを超える農地が冠水被害に見舞われました。
特に旬を迎えた柿農家の方々からは、強風による落果や傷付きに落胆する声が上がっています。丹精込めて育てた作物が、出荷直前に台無しになる悔しさは計り知れません。しかし、被害を受けた柿を干し柿に加工して販売しようとする前向きな姿勢には、プロの執念を感じます。これに対し、20年前の教訓から防風ネットを導入していた農家が被害を最小限に食い止めた事例は、事前の備えがいかに重要であるかを改めて示しました。
観光とインフラの再生に向けて
観光面でも大きな傷跡が残っています。2019年4月に就航したばかりの阿賀野川の遊覧船「イザベラ・バード」は、激流によって船底を損傷してしまいました。紅葉シーズンという書き入れ時を前にしたこのトラブルは、地域経済にとっても大きな痛手となるはずです。現在はクレーンで船を引き揚げ、2019年10月22日の運航再開を目指して突貫作業で修繕が行われています。
鉄道インフラについては、JR飯山線の十日町駅から豊野駅間などで運転見合わせが続いています。特に千曲川の氾濫による影響は甚大で、完全な復旧には相応の時間を要する見込みです。新潟県は、糸魚川市や妙高市、上越市に対して「災害救助法」の適用を決定しました。これは、自治体が行う避難所の設置などの費用を国と県がサポートする制度であり、被災者の負担軽減が期待されます。
私たちが今できることは、被災地の現状を正しく知り、風評被害を防ぎながら支援の輪を広げることではないでしょうか。地盤が緩んでいる場所も多く、二次災害への警戒は依然として必要です。美しい新潟の景色が一日も早く元通りになり、美味しい日本酒や農産物が再び全国へ届けられる日を心から待ち望んでいます。
コメント