2019年10月15日、主要な外食チェーン各社による2019年3月から8月期の決算発表が出そろいました。人件費の騰貴や物流コストの増大という逆風が吹き荒れる中、吉野家ホールディングスや壱番屋など、実に8社が最終的な利益を伸ばすという力強い結果を残しています。
この増益を支えた最大の要因は、巧みなメニュー構成の変更と戦略的な価格改定です。単なるコスト転嫁に留まらず、消費者が「それなら払いたい」と感じる魅力的な新商品を投入することで、客単価を押し上げることに成功した点は、実に見事な経営手腕だと言えるでしょう。
ヒット商品が運命を分ける!各社の明暗を分けた戦略
特に注目すべきは、赤字から劇的な復活を遂げた吉野家です。2019年3月から8月の期間中、肉の量が大盛の2倍という「超特盛」や、満足度の高い「特選すきやき重」が爆発的なヒットを記録しました。これにより、既存店の客単価は4.2%も上昇し、客数と単価の両方で前年を上回る独走状態を見せています。
SNS上でも「吉野家の超特盛は背徳感があるけれど抗えない」「すきやき重のクオリティが高すぎる」といった投稿が相次ぎ、ファン層を熱狂させている様子が伺えます。また、ドトールコーヒーもタピオカドリンクなどのトレンドを取り入れ、原材料費の上昇をカバーする増益を達成しました。
一方で、苦戦を強いられている企業も存在します。ラーメン店「日高屋」を運営するハイデイ日高は、働き方改革による「早帰り」の定着で、夜の「ちょい飲み」需要が減退し、減益となりました。時代の変化と共に、かつての勝ちパターンが通用しなくなっている現状には、一抹の寂しさを感じずにはいられません。
消費増税の壁を突破できるか?外食産業の新たな挑戦
2019年10月1日に施行された消費税率の引き上げは、外食業界にとって非常に大きな試練となります。実際にドトールの日レスホールディングス星野社長からは、10月以降の客数減少を懸念する声が上がっており、各社はすでに防衛策に乗り出している状況です。
リンガーハットが低価格ランチを導入し、日高屋が餃子の値下げキャンペーンを展開するなど、再び「安さ」を武器にする動きも活発化しています。しかし、筆者としては単なる価格競争に逆戻りするのではなく、吉野家が示したような「高くても満足できる価値」の提供こそが、今後の生き残りへの鍵になると確信しています。
今後、家計の引き締めが予想される中で、消費者がどの店を「選ばれる一軒」とするのか。各社が打ち出す次なる一手が、日本の食文化の風景をさらに変えていくことになるでしょう。
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