【インド携帯市場】激震の首位交代へ!「リライアンス・ジオ」が仕掛ける格安攻勢とデータ覇権の全貌

世界第2位、約12億人という膨大な加入者を抱えるインドの携帯電話市場で、今まさに歴史的な地殻変動が起きようとしています。かつては多くの企業が割拠していたこの巨大市場で、新興勢力の「リライアンス・ジオ・インフォコム」が、既存の巨人を飲み込まんとする勢いで躍進しているのです。

2019年10月17日現在、ムンバイの街角では「安くてつながる」という理由で、長年利用してきた大手キャリアからジオへ乗り換えるユーザーが後を絶ちません。SNS上でも「ジオの登場でインドのネット環境が劇的に変わった」という驚きの声と、その圧倒的なコストパフォーマンスを支持する書き込みが溢れています。

ジオが市場に参入したのは、わずか3年前の2016年9月のことでした。後発組でありながら、期間限定で音声通話とデータ通信を完全に無料にするという、常識破りのキャンペーンを展開して世界を驚かせました。この戦略が功を奏し、同社は瞬く間に29%ものシェアを奪い取ることに成功したのです。

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凄絶な淘汰と再編:生き残りをかけた三つ巴の戦い

この「破壊者」の登場により、インドの通信業界はかつてない淘汰の波にさらされました。2016年末には12社が乱立していた業界は、現在、実質的に3社へと集約されています。かつての首位バルティ・エアテルや、英ボーダフォン傘下の連合体も、契約者の流出を食い止めるのに必死な状況が続いています。

特筆すべきは、ジオを率いるムケシュ・アンバニ氏の実弟が経営していた「リライアンス・コミュニケーションズ」さえも、この価格競争の末に経営破綻へと追い込まれた点でしょう。身内であっても容赦しないこの「骨肉の争い」は、インド国内でも大きな衝撃をもって受け止められ、勝負の世界の厳しさを物語っています。

激しい競争の結果、業界全体の収益指標である「ARPU(1契約あたりの月間平均収入)」は激減しました。ARPUとは、通信会社が顧客一人からひと月にどれだけの利益を得るかを示す重要な指標ですが、競合他社が軒並み減収に苦しむ中、ジオだけは親会社の莫大な資金力を背景に、攻めの姿勢を崩していません。

「データは21世紀の石油」アンバニ氏が描く巨大な野望

リライアンス・ジオの真の狙いは、単なる通信インフラの提供に留まりません。親会社リライアンス・インダストリーズは、インド最大級の純利益を誇る巨大財閥です。主力の石油事業で稼いだ利益を惜しみなく投入し、負債を抱えてでも「インド版データエコノミー」の覇権を握ろうとしています。

ムケシュ・アンバニ会長は「データは21世紀の石油である」と断言しています。これは、かつて石油が産業を支えたように、現代ではデジタルデータこそが富を生む源泉になるという強い信念の表れです。彼らは格安スマホを普及させることで、これまでネットから疎外されていた層をも自社の経済圏に引き込みました。

ジオが構築した高速通信網は、ネット通販、動画配信、モバイル決済といったデジタルサービスの土台となります。私は、このジオの動きこそがインドのデジタル化を5年は早めたと感じています。単なる安売り王ではなく、国家全体のデジタルトランスフォーメーションを牽引する革命児といえるのではないでしょうか。

2019年3月31日時点で有利子負債が膨らんでいる懸念はありますが、サウジアラムコからの巨額出資を受けるなど、財務基盤の強化も余念がありません。5億人の契約者獲得を目指すジオの進撃は、インドを、そしてアジアのビジネス地図を塗り替えようとしています。

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