日本のものづくりを支える名門、日立金属が大きな転換点を迎えています。同社は2019年10月29日、2020年3月期の連結最終損益が470億円の赤字に転落する見通しであることを明らかにしました。当初は285億円の黒字を見込んでいたため、わずか数ヶ月で状況が急変したことが伺えます。
この衝撃的な下方修正により、2009年3月期以来となる11年ぶりの最終赤字が現実味を帯びてきました。前期の313億円という安定した黒字から一転、巨額の損失を計上する背景には、世界規模での経済の停滞が深く影を落としているようです。
世界を揺るがす貿易摩擦と需要の冷え込み
業績悪化の主因として挙げられるのが、長期化する米中貿易摩擦です。この影響で、主力である自動車向け部材や、工場の自動化を推進するFA(ファクトリーオートメーション)機器の需要が世界的に大きく落ち込んでしまいました。
FAとは、産業用ロボットや制御システムを活用して製造工程を自動化することを指しますが、景気後退の懸念から各メーカーが設備投資を控える動きを強めています。SNS上では「製造業の冬が来た」「名門でも抗えない景気の荒波」といった、業界の先行きを不安視する声が目立っています。
編集者の視点から見れば、今回の赤字は単なる一企業の不振ではなく、グローバル経済の縮図とも言えるでしょう。保護主義的な動きが強まる中で、輸出に依存する日本の素材メーカーが受けるダメージの大きさを改めて浮き彫りにした形です。
しかし、こうした苦境こそが構造改革や次世代技術への投資を加速させる契機になるはずです。自動車の電動化(EVシフト)など、新たな需要が生まれる分野で日立金属がどのように巻き返しを図るのか、2020年3月期の着地までその動向から目が離せません。
コメント