静岡県浜松市に拠点を置く「しんきん経済研究所」が、2019年10月29日に県西部の地場企業を対象とした景気動向調査の結果を公表しました。2019年7月1日から2019年9月30日までの期間における業況判断指数(DI)は、全産業合計でマイナス9.4を記録しています。前回の調査と比較して1.3ポイントの低下を見せており、地域経済の足取りが重くなっている現状が浮き彫りとなりました。
ここで指標となった「DI(ディー・アイ)」とは、景気の方向性を探るための代表的な統計手法です。具体的には、現状を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いて算出されます。今回の結果は2四半期連続でマイナス圏に沈んでおり、地元企業の経営者が肌で感じる景況感は、依然として厳しい冬の時代が続いていると言わざるを得ない状況でしょう。
SNS上では、この冷え込みに対して「大手メーカーの減産が末端の町工場まで響いてきている」「米中貿易摩擦の影響が目に見えて怖くなってきた」といった不安の声が目立っています。特に製造業の落ち込みは顕著で、DIはマイナス17.3まで悪化しました。これは自動車や二輪車、一般機械の分野において、中国市場向けの受注が大幅に減少したことが主な要因と分析されており、世界経済の荒波が直撃している形です。
観光・レジャー業界は過去最高水準の活況!一筋の光をどう活かすか
製造業が苦境に立たされる一方で、飲食や宿泊、レジャーなどのサービス部門は目を見張るほどの健闘を見せました。数値こそ微減したものの、DIは9.5という高水準をマークしています。これは調査開始以来、過去2番目に高い記録であり、2四半期連続でプラスを維持しました。夏の観光シーズンという季節性も追い風となり、宿泊施設の稼働率が8割前後に達するなど、観光需要が地域経済を力強く支えています。
しかし、楽観視できないのが今後の展望です。2019年10月から12月の予測値では、全産業でマイナス12.6までさらなる悪化が見込まれています。しんきん経済研究所の研究員も、現時点では景気を押し上げるような明るい要素が見当たらないと懸念を示しました。製造業の依存度が高い静岡県西部において、世界情勢の不透明感は経営者の心理に重い影を落としており、今後の舵取りには一層の慎重さが求められます。
編集者の視点としては、特定の産業に依存する構造の危うさを改めて痛感します。製造業が風邪を引けば地域全体が寝込むという構図から脱却するためには、今回のような観光業の好調さを一過性のブームで終わらせない仕組み作りが不可欠です。厳しい予測が続く2019年末に向けて、中小企業がどのように「守り」から「攻め」へ転じるのか、地域の金融機関による手厚いサポートと、企業の柔軟な業態転換に期待したいところです。
コメント