2019年11月、日本の物流を支え続けてきたヤマトホールディングスが、いよいよ創業100周年という記念すべき節目を迎えます。大正8年にわずか4台のトラックから始まった同社の歩みは、常に時代の先をゆく挑戦の連続でした。当時の日本全体でトラックが204台しかなかった時代に事業を興したその精神は、現代で例えるなら、未開の空域をドローンで切り拓くような驚くべき進取の気性に溢れています。
現在では、パトカーなどの緊急車両を凌駕する4万5000台もの車両が日本中を駆け巡っています。1日の総走行距離は約200万キロメートルに及び、これは地球を50周もする計算になるから驚きです。SNS上でも「ヤマトのトラックを見ない日はない」「生活に欠かせないライフラインだ」といった声が数多く寄せられており、もはや私たちの暮らしに溶け込んだ巨大な社会インフラとしての地位を確立しているといえるでしょう。
「運ぶ」の先にある新しい価値の創造
長尾裕社長は、この膨大なネットワークを単なる「荷物運び」で終わらせるつもりはないようです。例えば、全車両にドライブレコーダーを搭載すれば、街の細かな変化を察知する「目」となり、地域の安全を守るセンサーに進化します。また、配送を終えた後の空きスペースを有効活用できれば、これまでにない効率的な物流網が実現するはずです。こうした発想は、まさに現代の物流が目指すべき最適解のひとつではないでしょうか。
今、特に注目されているのが「PUDO(プドー)ステーション」です。これは特定の宅配業者に縛られず、誰でも非対面で荷物を受け取れるオープン型の宅配ロッカーを指します。駅や大学など2019年11月現在で約5000カ所に設置が進んでおり、再配達の削減という環境負荷軽減にも大きく貢献しています。こうしたデジタル化による「見える化」こそが、これからの少子高齢化社会を支える鍵となることは間違いありません。
三方よしで実現する持続可能な社会
さらにヤマトは、多摩や松戸で「ネコサポステーション」という生活支援サービスも開始しています。買い物や家事の代行、さらには地域の交流拠点としての役割も担っており、単なる配送拠点から「街のコンシェルジュ」へと姿を変えつつあります。こうした取り組みは、経済的な利益だけでなく、社会的な課題解決を同時に目指す「CSV(Creating Shared Value)」という経営手法を具現化したものだといえます。
CSVとは、企業が本業を通じて社会に貢献し、共に価値を創り出す考え方です。日本に古くから伝わる「三方よし(売り手・買い手・世間)」の精神に近いものですが、変化の激しいデジタル社会において、この価値観はますます重要性を増しています。困難をチャンスに変えようとするヤマトの姿勢には、編集者としても強い期待を抱かずにはいられません。皆さんの自由な発想が、次の100年を作る原動力になるはずです。
現在、2019年11月14日の正午を締め切りとして、この物流インフラを活用した持続可能な社会づくりのアイデアを募集しています。選ばれた優れた案は、同年11月25日付の日本経済新聞「未来面」などで紹介される予定です。19万人もの接点を持つヤマトのリソースを使って、あなたならどんな魔法をかけますか?既存の枠にとらわれない、未来を動かすようなワクワクする投稿をお待ちしています。
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