日本中が熱狂の渦に包まれているラグビーワールドカップ2019において、また一つ歴史に刻まれる名勝負が誕生しました。2019年10月20日に行われた準々決勝、ウェールズ対フランスの一戦は、まさに最後まで結末が予測できないドラマチックな展開となったのです。試合終盤に訪れた劇的な逆転劇は、スタジアムに詰めかけたファンの心に深く刻まれたことでしょう。
この試合のハイライトは、残り時間が10分を切った緊迫した場面で訪れました。6点を追うウェールズが敵陣深くで「ノックオン(ボールを前に落としてしまう反則)」を犯し、絶体絶命のピンチを迎えたのです。フランス側のスクラムとなり、多くの観客が2年前の欧州6カ国対抗戦における「100分間の死闘」というデジャブを想起したに違いありません。
しかし、今回の結末は当時とは対照的なものになりました。数的に不利な状況に陥っていたフランスに対し、ウェールズが圧倒的な重圧をかけてボールを奪い、起死回生のトライを決めたのです。逆転のゴールを成功させたSOのダン・ビガー選手が、過去の苦い記憶を払拭し「勝つ側にいられて良かった」と安堵の表情を浮かべた姿が、勝負の厳酷さと喜びを象徴していました。
シャンパンラグビーへの対抗策と勝敗を分けた統率力
試合の前半は、フランスが見事なまでの「シャンパンラグビー」を披露しました。これは、シャンパンの泡が湧き出るように華麗で、流れるようなパスワークを駆使するフランス伝統のプレイスタイルを指します。若手選手の躍動により、ウェールズは一時退場者を出すなど苦戦を強いられ、フランスの才気あふれる攻撃に翻弄される場面が目立ちました。
苦境に立たされたウェールズを救ったのは、ガットランド監督による的確な指示でした。後半、監督は「セットプレーと接点を支配せよ」という激を飛ばし、チームの士気を再び高めます。スクラムやラインアウトといった「セットプレー」での安定感を取り戻したことで、ウェールズはじわじわとフランスを追い詰め、相手の焦りからレッドカードによる一発退場を誘発することに成功したのです。
SNS上でも「これぞラグビーの醍醐味だ」「フランスの華麗な攻めも凄かったが、ウェールズの執念に脱帽した」といった熱いコメントが次々と投稿されています。2011年大会の準決勝ではフランスが1点差で勝利していましたが、今回はそのスコアを引っくり返す形での勝利となりました。歴史の因縁を精算したウェールズの強さは、今大会の優勝候補筆頭と言えるでしょう。
私個人としては、ラグビーというスポーツが持つ「不屈の精神」に改めて感銘を受けました。技術や戦術はもちろん重要ですが、最後に勝敗を分けるのは、泥臭く接点で戦い続ける覚悟なのだと痛感させられます。2019年10月20日のこの勝利は、ウェールズにとって単なる1勝以上の、世代を超えた価値を持つ大きな転換点になるはずです。
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