富士フイルムが産業用インクジェットの「心臓部」を外販へ!商業印刷の常識を塗り替えるDX戦略の全貌

銀塩写真で培った高度な技術力を武器に、富士フイルムが印刷業界へ新たな一手を投じました。2019年11月1日、同社は産業用インクジェットプリンターの基幹部品や制御ソフトウェアの外販を開始すると発表したのです。これまでは完成された装置としての提供が主でしたが、これからは「技術の切り売り」を解禁することで、既存の生産ラインに同社の高精度な機能を組み込むことが可能になります。

この戦略の目玉は、同社のフラッグシップ機である「Jet Press 750S」の驚異的な印刷品質を支える中核技術です。具体的には、インクを噴射する「プリントヘッド」と呼ばれる精密部品に加え、画像処理を司る専用ソフトや、印刷時のスジやムラを瞬時に検知して補正パターンを作成するスキャナーなど、合計9種類の要素がラインナップされました。これらを顧客のニーズに応じて柔軟に組み合わせられる点が最大の魅力でしょう。

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オフセット印刷からデジタルへ、多品種少量のニーズに応える変革

現在の商業印刷では、版を作ってインクを転写する「オフセット印刷」が主流です。これは大量生産には向いていますが、版を作るコストがかさむため、少量の印刷には不向きという弱点がありました。そこで期待されているのが、版を必要とせずデータを直接印刷するインクジェット方式です。富士フイルムは、消費者の好みに合わせてパッケージデザインを細かく変更するような、現代のマーケティング需要を確実に取り込もうとしています。

SNS上では、この発表に対して「富士フイルムのインクジェット技術は世界屈指」「自社製品に組み込めるなら、中小の印刷機メーカーにとって大チャンスだ」といった、技術の開放を歓迎する声が数多く寄せられています。今回の外販モデルにおいて、9種類の部品をフルセットで導入した際の想定価格は約1億円に達する見込みです。同社は今後5年間で、累計100億円の売上を目指すという野心的な目標を掲げています。

編集者としての私見ですが、今回の決定は単なる部品販売に留まらず、印刷業界全体のボトムアップに繋がる英断だと感じます。自社の完成品を売ることに固執せず、プラットフォーマーとして技術のインフラを提供しようとする姿勢は、デジタル変革(DX)が加速する現代において非常に理にかなっています。富士フイルムが提供する「高精細な目と腕」が、世界中の工場で新たな価値を生み出す日はすぐそこまで来ているようです。

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