日本を代表する精密化学メーカー、富士フイルムホールディングスがデジタル変革に向けた大きな一歩を踏み出しました。2019年11月1日付で発表された最新の人事異動からは、同社が次世代の成長エンジンとして「AI」と「IoT」をいかに重視しているかが鮮明に伝わってきます。かつての写真フィルムの王者から、ヘルスケアや高機能材料へと華麗な転身を遂げた同社ですが、その進化の手綱を緩める様子は一切ありません。
今回の体制変更で注目すべきは、技術部門のトップである岩崎孝志氏の役割がさらに強化された点でしょう。取締役兼執行役員、そしてチーフ・テクニカル・オフィサー(CTO)を務める同氏が、新たにAI基盤技術研究所やIoT推進、ITシステムといったデジタルの中枢を一手に管掌することとなりました。CTOとは最高技術責任者のことであり、企業の技術戦略を決定する極めて重要な役職を指します。
一方で、実務の最前線を牽引するリーダーとして杉本征剛氏がチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)に就任したことも、SNS上で「富士フイルムの本気度が伝わる」と大きな話題を呼んでいます。CDOとは、デジタル技術を駆使してビジネスモデルを再構築する役割を担う専門家です。同氏はAI基盤技術研究所長も兼任するため、研究開発の成果を迅速にビジネスの現場へ実装していくことが期待されているのでしょう。
AIとIoTが切り拓く富士フイルムの未来予想図
そもそもIoTとは「モノのインターネット」と呼ばれ、あらゆる製品をネットに繋いでデータを収集する仕組みを意味します。富士フイルムは、このIoTで得た膨大なデータをAI(人工知能)で分析し、診断支援システムや高度な生産ラインの構築を目指す戦略を掲げました。技術経営のトップである岩崎氏がこれらを統括する体制を敷いたことは、全社的なデジタル化を加速させるための非常に賢明な判断だと言えます。
編集者の視点から見ても、今回の人事は単なる組織変更の枠を超えた、強力なメッセージ性を感じずにはいられません。デジタル技術を既存事業の「おまけ」としてではなく、経営の根幹に据えるという強い決意が、今回の役職構成から透けて見えます。世界的にDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる中で、同社がどのような革新的サービスを生み出していくのか、2019年11月1日以降の動向から目が離せません。
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