中小型液晶パネルの旗手として知られるジャパンディスプレイ(JDI)が、2019年10月1日付で実施する大幅な組織改編と執行役員人事を発表しました。今回の人事では、経営体制の若返りと各事業部門の責任明確化が鮮明に打ち出されており、まさに背水の陣で挑む再建への強い意思が感じられます。SNS上でも「この布陣でV字回復を成し遂げられるか」と、投資家や業界関係者からの熱い視線が注がれている真っ最中です。
まず注目すべきは、執行役員兼チーフ・オペレーティング・オフィサー(COO)に就任する植木俊博氏の采配でしょう。COOとは、最高経営責任者の意向を受けて日々の業務執行を統括する実務の責任者を指します。さらに、車載インダストリアル事業部長には、マーケティング戦略に精通した下垣内康氏が抜擢されました。市場の成長が見込まれる車載分野に、戦略のスペシャリストを配置した点は非常に理に適った判断だと言えるはずです。
技術の要となるチーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)には、R&D統括部長を務めた仲島義晴氏が昇格します。一方で、これまでCTOとして技術を牽引してきた永岡一孝氏は、特別プロジェクト担当へと回ることになりました。こうした役割分担の変更は、既存技術の維持に留まらず、次世代ディスプレイ開発へのシフトを加速させる狙いがあるのでしょう。技術力の維持はメーカーの命脈であり、この交代劇がもたらす化学反応に期待が高まります。
機動力重視の布陣でモバイル・ソリューション事業の壁を突破できるか
モバイル事業部長には飯塚一也氏が、ディスプレイソリューションズ事業部長には小川和宏氏がそれぞれ就任いたします。スマートフォンのパネル需要が激しく変動する昨今、現場の指揮官に求められるのは何よりも迅速な意思決定です。また、経営企画本部長には大河内聡人氏が就任し、法務担当のゼネラルカウンセルとして岡田拓也氏が加わることで、コーポレートガバナンス(企業統治)の強化も同時に図る構えが見て取れます。
私個人の見解としては、今回の人事は単なる席替えではなく、JDIが「技術の会社」から「稼げる会社」へと脱皮するためのラストチャンスを形にしたものだと捉えています。複雑な業界構造の中で生き残るには、優れた製品を作るだけでなく、それをいかに効率的に収益へ繋げるかが鍵となります。これまでの保守的な体制を脱ぎ捨て、新役員陣がどれだけアグレッシブに現場を動かしていけるかが、今後の株価や信頼回復を左右するでしょう。
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