大阪大学発のバイオスタートアップであるビズジーン社が、熱帯感染症の代表格であるデング熱をわずか15分で診断できる画期的な検査キットを開発しました。2019年11月23日現在、同社はタイで500人規模の臨床試験、いわゆる「治験」を開始しており、現地での実用化に向けて大きな一歩を踏み出しています。SNS上では「途上国の医療救済に繋がる」「旅行時の安心材料になる」といった期待の声が早くも広がっているようです。
この検査キットの最大の特徴は、従来の簡易検査では難しかった「2回目以降の感染」を正確に捉えられる点にあります。デング熱は、一度感染した後に異なる型のウイルスに再感染すると、免疫反応が過剰に働き重症化するリスクが高まる非常に厄介な病気です。これまでは、精密な診断のために専門機関へ検体を送る必要があり、結果が出るまでに1週間以上を要して手遅れになるケースも少なくありませんでした。
ビズジーン社が採用したのは、ウイルスの遺伝子そのものを検出する高度な技術です。専門用語で「金コロイド」と呼ばれる、ごく小さな金の粒子を用いた反応を利用しています。検体となる血液を試験器に垂らすと、ウイルス特有のDNAと反応した金粒子が集まり、視覚的に鮮やかな赤色に変化して感染を知らせる仕組みです。これにより、特別な装置がない街中の小さな診療所でも、その場ですぐに適切な処置を判断できるようになります。
地球温暖化で高まる国内リスクと関西から発信される感染症対策
現在、同社を率いる開発邦宏代表は大阪大学の出身であり、国内指折りの実績を誇る大阪大学微生物病研究所とも連携して研究を進めています。2018年に起業した同社は、研究開発への先行投資により現在はまだ利益を追求する段階ではありませんが、その社会的意義は計り知れません。日本国内でも2014年に約70年ぶりとなる国内感染が確認されており、温暖化が進む将来、熱帯感染症は決して他人事ではなくなるでしょう。
編集者の視点から見れば、この技術は単なるビジネスの枠を超え、人類と感染症との闘いにおける「盾」になると確信しています。市場調査によれば、世界の臨床検査市場は2023年に約9兆円規模まで拡大すると予測されています。特に新興国での需要は凄まじく、関西の大学や企業が持つ高い技術力が、国境を越えて多くの命を救う原動力になることは、日本人として非常に誇らしく、かつ心強いニュースであると感じます。
ビズジーン社は今後、ベトナムでの共同研究やフィリピン、バングラデシュへの展開も視野に入れています。順調に承認を得られれば、2021年5月には一般向けの発売が予定されており、価格も1個2千円から3千円程度と、普及しやすい設定を目指しています。蚊が媒介する恐怖から人々を解放する日は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。私たちはこの「大阪発」の挑戦が、世界を変える瞬間を注視していく必要があるでしょう。
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