2019年11月25日、総務省から注目すべき経済データが届きました。同年10月の全国消費者物価指数、いわゆるCPIは、生鮮食品を除いた総合指数が102.0となり、前年同月比で0.4%の上昇を記録しています。10月といえば消費税率が10%へと引き上げられた節目の月であり、家計への影響を心配していた方も多いでしょう。しかし、蓋を開けてみれば上昇幅は緩やかで、増税による物価の押し上げ効果を、他の要因が相殺する形となったようです。
消費者物価指数(CPI)とは、私たちが普段購入する商品やサービスの価格変動を測定する、まさに「経済の体温計」とも呼べる指標です。今回の結果に対してSNS上では、「増税したのにお買い物感覚が変わらないのはなぜ?」「電気代が安くなって助かる」といった、実生活に即したリアルな声が目立っています。数字の上ではわずかな上昇にとどまりましたが、その背景には複数の複雑な要素が絡み合っていると考えられます。
具体的に価格を押し上げた項目を見ると、外食費や宿泊料といったサービス分野の堅調さが目立ちます。一方で、家計の強い味方となったのがエネルギー関連の価格下落でした。特に電気代が前年同月比でマイナスに転じたことは、物価全体を押し下げる大きな圧力として機能しています。加えて、2019年6月から大手キャリアが実施している携帯電話通信料の値下げ効果も継続しており、通信費の負担軽減が数字を抑制する一因となりました。
さらに興味深いのは、総務省が公表した政策的な影響の試算値ではないでしょうか。2019年10月の消費税率引き上げは、物価を0.77ポイント押し上げる要因となりましたが、同時にスタートした「幼児教育・保育の無償化」が0.57ポイントもの押し下げ効果を発揮したのです。つまり、税金が上がった分を、子育て支援政策がかなりの程度カバーしたという構図が見て取れます。
編集者の視点から申し上げれば、今回の0.4%という数字は、政府の看板政策である「全世代型社会保障」が物価統計に直接的な影を落とした結果といえます。教育無償化というインパクトの大きい支出抑制策が、増税による痛みを見えにくくさせている点は、今後の消費動向を占う上で無視できないポイントでしょう。家計にとっては一時的な安心材料となりますが、デフレ脱却を目指す日本経済全体にとっては、物価上昇の勢いが欠けているという課題も浮き彫りにしています。
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