幼児教育・保育の無償化で加速する人手不足!保育士確保へ向けた賃上げとシニア・IT活用の最前線

2019年10月よりスタートした「幼児教育・保育の無償化」により、現場では新たな波が起きています。これは3〜5歳児を持つ原則全ての世帯と、0〜2歳児の住民税非課税世帯を対象に保育料が無料になる制度です。国の基準を満たしていない「認可外保育施設」やベビーシッターの利用も補助の対象に含まれるため、子育て世帯にとっては朗報と言えるでしょう。しかし一方で、サービスの需要が急激に高まることが予想されています。

SNS上でも「家計が助かるので本当にありがたい」と歓迎する声が溢れる一方で、「そもそも保育園に入れるのだろうか」「現場の先生たちが倒れてしまわないか心配」といった不安の投稿も少なくありません。実際に、保育業界が抱える人手不足の問題は非常に深刻な状況に陥っています。この難局を乗り越えるべく、各企業は優秀な人材を確保するために多種多様な対策へと乗り出しているのです。

スポンサーリンク

深刻化する人手不足と各社の賃金改善・マッチング対策

まず大きな動きとして見られるのが、待遇の大幅な見直しです。例えばポピンズでは、首都圏の認可・認証保育園に配属される大卒保育士の初任給を、なんと約3万5000円も増額して26万円に設定しました。さらに、すでに在籍しているスタッフに対しても給与の引き上げを実施するなど、定着率を高める狙いがうかがえます。グローバルキッズCOMPANYも同様に、大卒者の基本給をアップさせる決断を下しました。

もちろん、お金の面だけではありません。業界最大手のJPホールディングスは、新入社員が自身の希望する施設を選択できる新しいシステムを導入しました。これまでは勤務エリアまでしか指定できず、いざ配属されてから「思っていた環境と違う」という人材のミスマッチが起きていたからです。働く側の希望に寄り添うこうした柔軟な対応は、長く働き続けるモチベーションの維持に直結するはずです。

シニア層の「主婦力」とITテクノロジーによる現場の負担軽減

働き手の裾野を広げるアプローチも活発化しています。ポピンズは60代以上のシニア層の採用を積極的に進めており、絵本の読み聞かせや保護者対応など、資格がなくても対応可能な業務を任せているとのことです。マッチングサービスを展開するキッズラインの経沢香保子社長も、シニア世代が持つ長年の子育て経験や「主婦力」に強い期待を寄せています。地域で暮らすベテラン世代の知恵を借りることは、非常に理にかなった戦略と言えるでしょう。

さらに、最新のテクノロジーを活用して業務の効率化を図る試みも始まっています。グローバルキッズCOMPANYの南花畑園では、お昼寝中に乳幼児がうつぶせ寝になるとアラームで知らせる「午睡(ごすい)センサー」を導入しました。基本的には人間の目で安全を確認しますが、この機器があることで保育士が抱える「万が一」への心理的なプレッシャーは大きく減らされます。IT機器のサポートは、安全確保と働きやすさの両立に欠かせない要素です。

保育の質を守るために私たちが考えるべきこと

2019年11月6日現在、無償化のスタートによって保育業界は大きな転換期を迎えています。私自身、各社が進める賃金アップやシニア世代の登用、そしてIT機器の導入といった多角的なアプローチは、非常に素晴らしい取り組みだと評価しています。特に、保育という命を預かる重圧をテクノロジーで少しでも和らげることは、現場の疲弊を防ぐために急務の課題だと感じています。

しかし、制度だけが先行して受け皿がパンクしてしまっては本末転倒です。保育士という職業が社会インフラを支える極めて重要な専門職であるという認識を、私たち社会全体でさらに共有していく必要があります。小手先の対応に留まらず、国を挙げた抜本的な処遇改善と労働環境の整備が今後も継続して行われることを、一人のメディア関係者として強く望みたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました