日本全国で深刻な影を落としている「所有者不明土地」という大きな課題に対し、ついに国が重い腰を上げました。法制審議会は2019年11月26日までに、不動産の相続時に名義変更を強制する「相続登記の義務化」を柱とした対策原案を固めたことが明らかになりました。これまで任意だった手続きに罰則を設けるという、まさに不動産制度の歴史を塗り替える大きな転換点を迎えています。
SNS上では「いよいよ放置できなくなるのか」「手続きが楽になるなら歓迎したい」といった期待の声がある一方で、「罰金まで払わされるのは厳しい」という困惑の反応も広がっています。なぜ今、これほどまでに厳しい措置が必要なのでしょうか。その背景には、九州の面積をも上回る広大な土地の所有者が分からず、再開発や防災対策がストップしてしまうという、現代日本が抱える「負動産」問題があるのです。
手続きのハードルを下げて義務化を実現へ
今回の改革で最も注目すべき点は、義務化とセットで導入される「手続きの簡略化」でしょう。現在は「相続登記(亡くなった方の不動産名義を、引き継ぐ人の名前に書き換える作業)」を行う際、出生から死亡までの膨大な戸籍謄本を集める必要があり、これが大きな負担となっていました。新制度では、自分が相続人の一人であることを証明できれば、全員が揃わなくても簡易的に登記できる仕組みを検討しています。
もし、正当な理由がないまま一定期間内にこの登記を怠った場合には、10万円以下や5万円以下の過料といった罰則が科せられる見通しです。個人的には、ただ厳しく取り締まるのではなく、デジタルの力を活用してスマホ一つで申請が完了するような、究極に利便性の高いインフラ整備も同時に進めてほしいと強く感じます。利便性こそが、放置土地を減らす最大の特効薬になるはずだからです。
遺産分割の放置に終止符?10年の期限を設定
もう一つの重要な変更点は、遺産分割の協議に「10年」という期限を設ける案です。これまでは話し合いがまとまらなければ、何十年でも未解決のまま土地が放置されることがありました。今後は、10年を過ぎても合意に至らない場合は、法律で定められた割合(法定相続分)に従って機械的に分割できるようにします。これにより、話し合いを先延ばしにする心理的なブレーキがかかるでしょう。
さらに画期的なのが、条件付きでの「土地所有権の放棄」が認められる方針となったことです。これまで日本の法律では、一度手に入れた土地を手放すことは原則できませんでした。管理が難しく固定資産税だけがかさむ土地を国に返せる道筋ができることは、地方の空き地問題に悩む方々にとって一筋の光となるに違いありません。ただし、国への押し付けを防ぐため、管理のしやすさなどの厳しい条件がつく予定です。
2020年秋の臨時国会での法案提出を目指し、これから詳細なルール作りが加速します。この法改正は、単なる手続きの変更ではなく、私たちの世代が「土地を管理する責任」を再認識するための重要なステップです。未来の子供たちにボロボロの空き地や管理不能な山林を残さないためにも、この改革の動向から目が離せません。
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