世界が「過剰流動性」の熱狂に沸く?米株市場のバブル懸念と投資家たちのクリスマス狂騒曲

2019年11月29日のニューヨーク株式市場は、これまでの熱狂に冷や水を浴びせられたような幕切れとなりました。ダウ工業株30種平均は、前営業日の27日と比較して112ドル安い2万8051ドルで取引を終えています。連日の史上最高値更新は4営業日でストップしましたが、これはトランプ米大統領が「香港人権法案」に署名したことで、米中対立の再燃を恐れた投資家たちが一斉に利益を確定させる売りに出たためです。

感謝祭の祝日明けということもあり、市場参加者が少なく取引自体は静かなものでした。しかし、2019年11月全体を振り返れば、ダウ平均は3カ月連続で上昇しており、その勢いは6月以来の大きさを見せています。この秋からの株高を支えている正体こそ、市場にあふれんばかりの資金が供給される「過剰流動性」なのです。SNSでは「実体経済とかけ離れている」との声がある一方で、「乗るしかない、このビッグウェーブに」といった強気な意見も散見されます。

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FRBが主導する「隠れた量的緩和」のインパクト

米連邦準備理事会(FRB)は、2019年10月から短期金融市場の資金不足を解消するため、毎月600億ドル(約6兆5000億円)という巨額のペースで短期国債を買い入れています。2019年11月18日時点でのFRB保有資産は4兆302億ドルに達しました。資産縮小を進めていた8月末からわずか2カ月余りで、過去2年間の縮小分の4割を戻してしまった計算になります。これは、蛇口を全開にして市場に現金を流し込んでいるような状態です。

FRB側は公式に否定していますが、市場関係者の多くはこれを「量的緩和第4弾(QE4)」の実質的な開始だと受け止めています。量的緩和とは、中央銀行が市場から債券などを買い取ることで、世の中に出回るお金の量を増やす政策のことです。欧州中央銀行(ECB)も緩和路線を継続しており、世界中の中央銀行が足並みを揃えて「金余り」の状態を作り出しています。投資家たちは、かつてのリーマン・ショック後の株高再現を期待して、買いに走っているのでしょう。

「高圧経済」が招くミニバブルの足音

現在の状況は、景気が回復基調にあっても金融緩和を緩めない「高圧経済政策」の様相を呈しています。これは、あえて経済を過熱させることで雇用や賃金を押し上げようとする手法ですが、副作用として株式相場のバブル化を招くリスクが潜んでいます。専門家の間からは、すでに「ミニバブルのシナリオ」が現実味を帯びているとの警告も出始めました。本来ならリスクの兆候を知らせる「炭鉱のカナリア」である低格付け債の利回りも、今は不気味なほど静まり返っています。

FRBが重視する物価指数(PCE)の上昇率は前年同月比1.3%に留まっており、目標の2%には程遠いのが現状です。物価が急上昇しない限り、FRBが慌てて利上げに踏み切り、この「宴」を終わらせる理由はありません。私自身の見解としては、このジャブジャブのマネーが支える相場は非常に甘美ですが、危うさと隣り合わせだと感じます。潤沢な資金供給は一時的な安心感を与えますが、それはあくまで「ドーピング」のようなもので、市場の自律的な回復とは質が異なるからです。

さらに懸念すべきは、肝心の企業業績との乖離です。2019年の主要企業の1株利益は、前年からわずか1%程度しか増えない見通しとなっています。週明けの2019年12月2日からは、感謝祭ムードが消えて通常取引へと戻ります。強気派の投資家たちはクリスマスまでこの祝祭を続けたいと願っているでしょうが、業績という裏付けのない株高がどこまで維持できるのか。冷徹な視点で見守る必要がありそうです。

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