かつての巨大リゾート開発から舵を切り、西武ホールディングスがいま、劇的な変化を遂げています。2004年の経営刷新から15年という月日が流れ、西武鉄道は「後発」という立場を逆手に取った独自の沿線開発で、他の私鉄を猛追しているのです。
その象徴とも言えるのが、2019年11月22日現在、大きな注目を集めている高架下空間の有効活用です。石神井公園駅付近では、線路を高い位置に移動させる「高架化」によって生まれた広大なスペースに、マルシェや保育所、ペットサロンなどが続々と誕生しています。
この戦略は数字にも表れており、石神井公園駅の乗降客数は5年前と比較して11.2%も増加しました。SNSでは「駅の下が便利になりすぎて、もはや一つの街」「昔のイメージと全然違う」といった驚きの声が溢れており、利便性の向上が肌で感じられる状況です。
所沢が「乗り換えの駅」から「目的地」へと進化する
西武の本拠地である所沢駅でも、大きな変革が進んでいます。2018年3月に先行開業した「グランエミオ所沢」は、これまで池袋線と新宿線の乗り換え地点に過ぎなかった駅を、ショッピングやグルメを楽しむ「目的地」へと塗り替えました。
2020年の全面開業に向けてさらに規模を拡大する計画ですが、こうした開発はまさに現代のニーズに合わせたものと言えます。あえて開発を急がなかったことで、共働き世代や子育て層が本当に求めている施設を、ピンポイントで提供できているのでしょう。
私個人としては、この「あえて遅れて開発する」という戦略は、変化の激しい現代において非常に賢明だと感じます。先駆者たちの事例を分析し、最新のライフスタイルに最適化された街をゼロから構築できるのは、後発組だけに許された特権だからです。
観光とエンタメで沿線のブランド力を底上げ
ハード面だけでなく、ソフト面の進化も見逃せません。2016年に導入された、建築家・隈研吾氏デザインの観光列車「52席の至福」は、車内で本格的な料理を楽しめる体験型コンテンツとして、鉄道ファンの枠を超えた人気を博しています。
さらに、2019年3月にデビューした新型特急「ラビュー」は、足元まで広がる巨大な窓が特徴です。これまでの「移動のための特急」から「乗ること自体が目的になる特急」へとパラダイムシフト(当然と考えられていた価値観が劇的に変化すること)を起こしました。
現在は、USJ再建の立役者として知られる森岡毅氏とタッグを組み、西武園ゆうえんちの2021年大規模リニューアルや、メットライフドームのボールパーク化も推進中です。単に家を売るだけでなく、週末を楽しく過ごす仕掛け作りにも余念がありません。
他社に比べブランドイメージで苦戦してきた西武ですが、こうした攻めの姿勢は着実に実を結びつつあります。最新の技術と現代の感性を取り入れた「西武流」の街づくりが、関東の住みたい街ランキングを席巻する日は、そう遠くないはずです。
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