日韓関係の冷え込みが、ついに空の便の拠点にも深刻な影を落とし始めています。韓国の格安航空会社(LCC)として知られる「エアソウル」が、2019年11月11日までに、日本国内にある12の拠点のうち半分にあたる6つの支店について、2019年内にも営業を休止する方針を固めました。これは単なる一時的な縮小を超えた、極めて異例の事態といえるでしょう。
今回、営業休止の対象となっているのは、札幌や静岡、富山、宇部、熊本、そして沖縄といった地方都市の拠点です。日韓の対立が激しさを増した2019年7月以降、双方を往来する旅行客が目に見えて減少しました。これに伴い、エアソウルはこれらの都市と韓国を結ぶ路線を次々と運休せざるを得なくなり、拠点を維持することが困難になったのが実情です。
アシアナ航空の秘蔵っ子が直面する「空前の経営危機」
エアソウルは、韓国航空大手の第2位であるアシアナ航空が100%出資して2015年に設立した、いわば「期待の星」でした。一時はソウル近郊の仁川(インチョン)空港から、日本の13もの都市へ翼を広げていたのです。しかし、2019年11月12日現在、運行を継続しているのは東京、大阪、広島、高松のわずか4都市のみとなっており、路線の多くが止まったままという危機的な状況にあります。
LCC(格安航空会社)とは、効率化を徹底することで低価格な運賃を実現するビジネスモデルを指します。エアソウルにとって、観光需要が高い日本路線は収益の柱であり、最も多い13路線を抱える最重要市場でした。それだけに、2019年8月以降に韓国人訪日客が5割程度も急減した打撃は計り知れません。他のLCC各社も同様の苦境に立たされており、業界全体が存亡の機に瀕しているといっても過言ではありません。
SNSに広がる戸惑いと、編集部が見る「観光の壁」
SNS上では、このニュースに対して「地方と韓国が近くなっていたのに残念だ」「旅行が政治に左右されるのは悲しい」といった利用者の戸惑いが広がっています。一方で「今は時期が悪いから仕方ない」という冷ややかな意見も見受けられ、世論の分断も浮き彫りになっています。私個人の意見としては、民間交流の「足」である航空路線が失われることは、両国の相互理解をさらに遠ざける結果になりかねないと危惧しています。
エアソウル側は「運休が解除されれば業務を再開する」と含みを持たせていますが、日韓の政治的な解決の糸口が見えない以上、再開の目処を立てるのは容易ではないでしょう。2019年11月12日、私たちはかつての賑わいを取り戻せるのか、それともこのまま「空の鎖国」が進んでしまうのか。地方経済への影響も踏まえ、今後もこの動向を注視していく必要があります。
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