働く方々にとって、自分の労働価値を示す「時給」の動きは最も関心の高いトピックの一つでしょう。2019年11月29日に発表された最新データによると、エン・ジャパンが調査した2019年10月の派遣社員募集時平均時給は、関東・東海・関西の三大都市圏で1584円に達しました。これは前年の同じ月と比較して1.6%、金額にして24円の上昇であり、なんと調査開始以来の過去最高額を塗り替える結果となりました。
時給が前年を上回る状況は17カ月もの間、途切れることなく続いています。SNS上では「時給が上がっている実感はあるけれど、求められるスキルも高くなっている気がする」といった、市場の活況とプレッシャーの双方を感じさせるリアルな声が散見されました。背景には深刻な人手不足がありますが、単に人が足りないだけでなく、企業側が「より高い能力を持つ人材」を確保しようと投資を惜しまない姿勢が鮮明になっています。
一般事務より「専門事務」?職種で分かれる明暗と今後のトレンド
職種別の内訳を詳しく見ていくと、非常に興味深い傾向が浮かび上がってきます。オフィスワーク系全体の平均は1590円と堅調ですが、最も求人数が多い「一般事務」の時給は小幅ながら減少しました。一方で、「営業事務」や「保険事務」といった高い専門性が要求される職種が大きく時給を伸ばし、市場全体を力強く牽引しています。特定の業界知識や実務経験が、まさに給与という形での評価に直結している状況だといえるでしょう。
同月の「アルバイト・パート」の平均時給も1074円と、前年より27円の大幅アップを見せており、雇用形態を問わず人件費の上昇圧力は極めて強いものがあります。一方で、物流の指標であるアジア発米国向けのコンテナ輸送量は前年比で約10%も落ち込んでおり、世界経済の不透明感が漂い始めています。それでもなお、国内の労働市場がこれほどの高水準を維持しているのは、まさに「人材こそが最大の経営資源」であるという認識が広まっている証拠です。
私は、この時給上昇の波を単なる人手不足の結果としてではなく、働く側が自身のスキルを磨き、正当な対価を勝ち取るための「ポジティブなチャンス」だと捉えています。定型的な事務作業が自動化されていく中で、専門特化した事務スキルを持つ人材の価値は今後もますます高まっていくはずです。2019年10月というこのタイミングで最高値を更新し続ける派遣市場は、自身のキャリアプランを再考するための絶好の指標になるのではないでしょうか。
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