2019年11月12日現在、日本の不動産市場は歴史的な転換点を迎えています。ここ5年間で新築マンションの坪単価は約4割も上昇しており、まさに「価格革命」と呼ぶにふさわしい状況でしょう。かつての日本には、建物は古くなれば価値がゼロになり、土地だけが資産として残るという「土地本位制」が根付いていました。しかし、今まさにその常識が根底から覆されようとしているのです。
これまでの日本では、土地は単なる借金の「担保」としての役割が強く、その土地が実際にどれほどの収益を生むかという経済的価値は二の次とされてきました。ところが現在は、土地を含む不動産そのものが持つ本来の価値が再評価され始めています。アメリカのように、適切なメンテナンスを行えば築年数に関係なく資産価値が維持、あるいは上昇するという、国際基準の不動産観がようやく日本にも浸透してきたと言えるでしょう。
SNS上では「もはや共働きでないと手が届かない」といった価格高騰への悲鳴が上がる一方で、「資産として持っておくべき」という投資的な視点を持つユーザーも目立ちます。なぜ今、これほどまでにマンションが求められているのでしょうか。その背景には、現代のライフスタイルと社会情勢の劇的な変化が存在します。かつては遠方の庭付き一戸建てを夢見る「土地神話」がありましたが、それが皮肉にも深刻な「通勤地獄」を生み出していました。
しかし、現在の共働きで子育てに励む世代にとって、長時間の通勤は許容できるものではありません。職場と住まいが近い「職住近接」を求める声は、都市部の好立地における住宅不足を招き、結果としてマンション価格と家賃を押し上げています。ここにあるのは、単なるブームではなく、人々の生き方の変化に呼応した必然的な需要なのです。
低金利時代のトリプルメリットとデフレ脱却の鍵
投資効率の面で見れば、現在のマンション取得には三つの大きな利点があります。まず一つ目は、歴史的な低金利を活用して家賃支出を抑えられる点です。二つ目は将来的な値上がり益(キャピタルゲイン)、そして三つ目が税制面での優遇措置です。これだけのメリットが揃えば、賢明な消費者がマンション購入へと動くのは当然の帰結だと言えるでしょう。
私はこの現象について、日本の病巣であった「デフレ」を根絶するための最後のピースだと確信しています。これまで日本のデフレが長引いた最大の要因は、住宅価格の下落に伴う家賃の低下にありました。家賃は消費者物価指数において大きな比重を占めるため、ここが上昇に転じれば、日本経済はついに長期にわたるデフレのトンネルを抜け出すことができるはずです。
日本銀行の黒田総裁が主導してきた「量的金融緩和」という長い旅路が、ようやく不動産価格と家賃の定着という形で結実しようとしています。これは単に不動産業界が潤うという話に留まりません。資産価格の健全な上昇は、日本株が長期的な上昇トレンドに乗っていることを裏付ける強力な根拠となります。私たちは今、失われた数十年を取り戻す、エポックメイキングな瞬間に立ち会っているのです。
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