お米の王国、新潟県から衝撃的なニュースが飛び込んできました。2019年11月12日現在、今年収穫された新潟県産コシヒカリの品質が、過去類を見ないほど深刻な状況に陥っています。9月末時点での「1等米比率」は、なんとわずか20%。昨年の約80%という数字から一転し、記録的な不作と言われた2010年に匹敵する歴史的な低水準となってしまいました。
SNS上では「今年の新潟米は白っぽい気がする」「農家さんがかわいそうすぎる」といった悲痛な声が広がっています。1等米とは、農林水産省が定める検査規格で、粒の形や透明感、水分含有量などが最も優れていると判定されたお米のことです。この比率がここまで下がるのは、ブランド王国である新潟にとって、まさに非常事態と言えるでしょう。
特に驚くべきは、全国的な知名度を誇る「魚沼産コシヒカリ」までもが1等米比率19.8%と、2割を切ってしまったことです。新潟県内の一般地域では17.1%とさらに厳しく、佐渡や岩船といった地域も軒並み前年を大きく下回っています。この原因は一体どこにあるのでしょうか。編集部が調査したところ、そこには抗いようのない「自然の猛威」が隠されていました。
記録的な猛暑とフェーン現象が稲を襲った2019年の夏
品質低下の主犯は、2019年8月に日本列島を襲った記録的な猛暑です。お米のデンプンが粒に詰まる大切な時期、つまり「出穂期(しゅすいき)」に、新潟県では平年を大きく上回る高温が続いてしまいました。稲にとって最もデリケートなタイミングで、過酷な熱風にさらされる形となったのです。
追い打ちをかけたのが、8月14日から15日にかけて発生した台風10号に伴う「フェーン現象」です。これは山を越えた風が乾燥して高温になり、吹き下ろす現象を指します。胎内市や三条市では最高気温が40度を超えるなど、まさに炎のような熱風が田んぼを駆け抜けました。その結果、お米の中に空気が入り、白く濁ってしまう「未熟粒」が大量に発生してしまったのです。
この事態に、長岡市のエコ・ライス新潟では、新規取引を自ら断るという苦渋の決断を迫られています。2010年の不作時には米穀店からのキャンセルが相次ぎ、価格を大幅に下げて販売せざるを得なかった苦い経験があるからです。豊永社長が語る「消費者に申し訳ない」という言葉からは、米どころのプライドと、どうしようもない悔しさが痛いほど伝わってきます。
見た目だけで判断しないで!専門家が語る「美味しさ」の保証
しかし、ここで皆様にぜひ知っていただきたい希望があります。新潟薬科大学の大坪研一教授によれば、お米の等級は主に「見た目」の良さを判定するものであり、実は「等級が低いからといって味が落ちるわけではない」のです。実際に県の調査でも、2019年産の1等米から3等米までの食味には、大きな差がないことが判明しています。
2010年の際も、1等米比率は低かったものの、魚沼産コシヒカリは食味ランキングで最高評価の「特A」を獲得しました。見た目が少し白く濁っていても、炊き上がりの美味しさは新潟ブランドそのものだと言えるでしょう。私たちは今こそ「見た目の美しさ」というバイアスを捨て、農家さんが必死に守り抜いた一粒一粒の「味」を評価するべきではないでしょうか。
現在、新潟県は被害を受けた農家への融資制度を創設するなど、全力で支援に乗り出しています。また、将来の気候変動を見据えた品種構成の再検討も始まりました。編集者としては、この困難な2019年を乗り越えようとする生産者の皆様を、ぜひ「食べて応援」することで支えていきたいと感じています。今夜の食卓には、力強い味わいの新潟米を選んでみませんか。
コメント