2019年11月15日現在、不動産市場に驚きのニュースが駆け巡っています。東京カンテイが発表した最新データによれば、2019年9月の東京都心6区における中古マンションの平均希望売り出し価格(70平方メートル換算)が、ついに8065万円を記録しました。これは2002年の調査開始以来、初めて大台の8000万円を超えた歴史的な瞬間です。SNS上でも「一般庶民には到底手が出ない」「新築が買えないから中古を探していたのに、中古も高すぎて絶望」といった、悲鳴に近い驚きの声が相次いでいます。
東京カンテイの主任研究員である高橋雅之氏は、この現状を「非常に高い水準での安定」と分析しています。2013年から2016年に見られたような爆発的な上昇スピードこそ落ち着きを見せているものの、価格が下落する予兆は今のところ全く見当たらないようです。市場に在庫が溢れて値下げ合戦が始まるような気配もなく、売り手側の強気な姿勢が数字に表れています。実際に、直近3ヶ月で値下げを行った物件の割合は都心部で過去最低水準となっており、まさに「売り手市場」が鮮明になっています。
二極化が進む23区内の格差と、投資熱の高まり
一口に東京と言っても、エリアによって温度差が生じている点には注目すべきでしょう。千代田区、港区、渋谷区といった都心の中でも特別なエリアは、大規模な再開発によって利便性が飛躍的に向上し、富裕層の旺盛な需要に支えられています。一方で、江東区などの湾岸エリアや台東区など、かつて急騰した地域では価格が頭打ちになりつつあるのが実情です。ここで注目したい専門用語が「実需(じつじゅ)」と「投資」のバランスです。実需とは自分が住むために購入することですが、最近は将来の値上がりや賃貸収益を狙う投資目的の購入が目立っています。
高橋氏は、マンションが住居としての役割だけでなく、資産としての価値を持つ「半住半投(はんじゅうはんとう)」の側面を強めていると指摘します。実需層が予算の限界に直面する一方で、国内外の投資家による資金が都心部に流れ込み、価格を押し上げている構図が見えてきます。筆者の個人的な見解としては、もはや都心の中古マンションは「住まい」という枠を超え、ゴールドや株式のような「金融商品」としての性格を色濃くしていると感じます。この傾向は、利便性を追求する現代のライフスタイルが続く限り、簡単には揺るがないでしょう。
世界情勢の不透明感と、五輪後の相場はどうなる?
2019年10月の消費増税の影響が懸念されましたが、現在のところ高額商品の購買意欲を大きく冷やすまでには至っていないようです。今後の鍵を握るのは、日本国内の事情よりもむしろ海外の情勢だと言えます。米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題、中東情勢といったグローバルなリスクが平穏に収束すれば、この高値相場は2020年の東京五輪後も継続する可能性が高いと予測されています。逆に言えば、世界経済が大きく減速して投資資金が一気に引き揚げられる事態になれば、市場が調整局面に入ることも否定できません。
また、働き方改革の一環として注目される「テレワーク」や「二拠点生活」も、将来の不動産価値に影響を与えるかもしれません。もし郊外での暮らしが一般化すれば、都心一極集中の流れに変化が訪れるでしょう。しかし高橋氏が述べる通り、これらがどの程度の規模で社会に浸透するかは未知数です。現時点では、圧倒的な利便性を誇る都心の優位性は揺るぎなく、賢い物件選びには「投資的な視点」が不可欠な時代になったと言えます。私たちは今、中古マンションという資産の在り方が大きく変容する過渡期に立ち会っているのです。
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