2019年11月19日の香港株式市場において、中国の半導体受託生産で最大手として君臨する中芯国際集成電路製造(SMIC)の株価が軟調な動きを見せました。一時は前日と比較して5.3%安となる10.04香港ドルまで売り込まれる場面もあり、最終的な終値も10.18香港ドルと、前日比3.96%の下落を記録しています。この急落の背景には、同社が発表した資金調達策が大きく関係しているようです。
今回の下落を招いた直接的な要因は、SMICが約2億3000万米ドル、日本円にして約250億円にものぼる新株予約権付社債(転換社債=CB)の発行を公表したことです。この「転換社債」とは、投資家が将来あらかじめ決められた価格で株式に交換できる権利を持つ社債を指します。企業にとっては低利で資金を集められるメリットがありますが、投資家側は「将来的に市場に出回る株数が増えるのではないか」と身構えてしまいます。
具体的には、2022年に満期を迎えるこの社債がすべて株式に転換された場合、発行済み株式の3.3%に相当する約1億6795万株が新たに発行される計算です。これにより、1株あたりの利益が目減りする「利益の希薄化」が懸念されました。SNSなどの投資家コミュニティでは、「短期的には調整局面か」といった慎重な意見や、「さらなる設備投資への布石であれば期待したい」といった先行きの成長性に注目する声が入り混じっています。
一方で、SMICが2019年11月12日に発表した2019年7月から9月期の四半期決算は、子会社の売却益なども寄与して堅調な数字を維持しました。米中貿易摩擦という荒波の中でも、中国国内での半導体自給率向上という国策を追い風に、同社は生産能力の増強や運転資金の確保を急いでいます。今回の調達資金も、まさに将来のシェア拡大に向けた攻撃的な一手であると言えるでしょう。
株価チャートを俯瞰すると、直近のSMIC株は年初来の高値圏で推移していたため、好材料を背景に買っていた層が「ニュースをきっかけに一旦利益を確定させよう」という動きに出やすいタイミングでもありました。編集者の視点から見れば、今回の下落はあくまで財務戦略に伴う一時的なアレルギー反応に過ぎません。次世代の通信規格「5G」の普及を控えた今、製造能力の強化は同社にとって不可欠なステップです。
今後の焦点は、今回確保した250億円もの資金が、いかに早く最新鋭の製造ラインへと還元されるかにかかっています。一株あたりの価値が薄まる不安はあるものの、事業規模そのものが拡大すれば、中長期的な株主価値はむしろ高まる可能性を秘めています。中国半導体産業の司令塔とも言える同社の動向からは、今後もしばらく目が離せない状況が続くことでしょう。
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