ものづくり大国として日本経済を牽引してきた中部地方の景況感に、いま大きな激震が走っています。内閣府が発表した2019年10月の「景気ウォッチャー調査」によれば、愛知・岐阜・三重・静岡の4県における景況感を示す指数は、2011年の東日本大震災直後に匹敵する水準まで急落しました。
「景気ウォッチャー調査」とは、タクシー運転手や小売店の店員など、街の景気を肌で感じる人々にアンケートを行うものです。この景況感を判断するDIという指標は、50を下回ると景気が悪いとされますが、中部地方では2018年3月から19ヶ月連続でこの大台を割り込む深刻な事態が続いています。
SNS上では「増税してから財布の紐が一段と固くなった」「給料は微増しても引かれる税金が多すぎて手元に残らない」といった悲痛な声が溢れています。2019年10月の消費増税に伴う駆け込み需要の反動に加え、相次ぐ台風被害が客足を遠のかせ、自動車販売や百貨店の現場からは悲鳴に近い報告が上がっているのです。
可処分所得の伸び悩みと住宅市場の冷え込み
統計上、2018年の名目賃金はわずかに上昇していますが、消費者の実感が伴わない理由には「可処分所得」の停滞があります。これは給与総額から税金や社会保険料を差し引いた、いわゆる「手取り」の金額のことです。共働き世帯は所得が増える一方で、専業主婦世帯では実質的に所得が減っているという格差も浮き彫りになりました。
さらに深刻なのが住宅市場の動向でしょう。愛知県における2019年9月の新設住宅着工戸数は3ヶ月連続でマイナスを記録しています。特に賃貸物件の落ち込みが激しく、これは金融機関が融資の審査を厳格化したことが影響しており、不動産投資への意欲が急速に減退している現状が伺えます。
編集部としては、製造業の強さに依存してきた中部地方が、米中貿易摩擦という外圧と内需不足の「挟み撃ち」にあっている現状を危惧しています。単なる一時的な落ち込みではなく、構造的な所得不安が消費を蝕んでいると考えられます。このまま内需の柱が崩れれば、地域経済が深刻な後退局面に入る恐れは否定できません。
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