2019年11月22日、失効目前だった日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の継続が決定し、東アジアの安全保障は首の皮一枚でつながりました。このニュースに対し、SNSでは「ひとまず安心した」という安堵の声がある一方で、「火種は何も消えていない」といった厳しい意見も飛び交っています。防衛上の秘密を共有するこの協定は、いわば両国の信頼の証ですが、今の日本と韓国はその土台が大きく揺らいでいるのです。
今回の事態を受け、両政府は2019年12月の首脳会談に向けて歩み寄りを見せていますが、解決への道筋は決して平坦ではありません。最大の壁となっているのは、元徴用工を巡る韓国大法院(最高裁)の判決です。日本側は1965年6月22日に調印された日韓請求権協定によって、賠償問題は「完全かつ最終的」に解決済みであるとの立場を崩していません。法的な基盤を巡るこの衝突は、もはや平行線を辿っています。
埋まらない溝:50年前の約束と「不法」という新たな定義
2019年10月24日に行われた日韓首相会談では、この認識のズレが鮮明になりました。李洛淵首相が「協定を順守している」と述べたのに対し、安倍晋三首相は判決が国際法違反であると強く反論したのです。ここで言う「徴用工問題」とは、戦時中に日本の企業で労働を強いられた人々の補償を指します。韓国側はこの行為自体を「不法」と定義し、当時の条約では救済されない個人の権利があると主張し始めました。
こうした動きの背景には、韓国が歩んできた劇的な経済発展があります。かつて「漢江の奇跡」と呼ばれた高度経済成長を経て、韓国は世界でも有数の経済大国へと変貌を遂げました。1965年当時には日本と8倍以上の開きがあった1人当たり国内総生産(GDP)は、2018年にはほぼ同水準にまで迫っています。この経済的な自信が、かつての「不平等な条約」を見直すべきだという世論の後押しとなっているのでしょう。
安保の枠組みが揺らぐ今、私たちが注視すべき未来
文在寅政権が2017年5月10日に発足して以来、2015年12月28日の「日韓慰安婦合意」を事実上白紙化するなど、過去の政治を否定する動きが加速しています。さらに北朝鮮との融和を最優先する姿勢は、日本や米国との安全保障上の足並みを乱す要因にもなっています。かつては北朝鮮という共通の脅威を前に団結していた日米韓の枠組みが、今やかつてないほど脆くなっているのは否定できない事実です。
個人的な見解を述べれば、国家間の約束は時の政権によって左右されるべきではありません。しかし、韓国国内の「民意」が法を上書きしようとする現状は、民主主義の危うさを内包しているようにも感じられます。経済力が拮抗した今こそ、感情的な対立を超えて、国際社会の一員として「ルールを守る重み」を互いに再確認すべきではないでしょうか。GSOMIAの継続は、あくまで対話のための時間稼ぎに過ぎないのです。
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