世界中のビール愛好家を熱狂させているフクロウのロゴをご存じでしょうか。茨城県那珂市に拠点を置く木内酒造が手掛ける「常陸野ネストビール」は、今やクラフトビール市場を牽引する存在となっています。大手メーカーも注目するこの成長分野において、彼らが大切にしているのは「地域の農業」という確固たるアイデンティティです。
2019年10月末から11月初旬にかけて、茨城県石岡市の八郷地区では、木内酒造のスタッフによる「福来(ふくれ)みかん」の収穫が行われました。このみかんは、人気商品「だいだいエール」に欠かせない芳醇で爽やかな香りの決め手となります。地元の恵みをそのまま瓶に詰め込むスタイルこそ、彼らの真骨頂と言えるでしょう。
木内敏之副社長は、農業に根ざさない商品は海外では通用しないと断言されています。例えば、主力商品の「ホワイトエール」には那珂市産の生小麦が、「レッドライスエール」には古代から伝わる赤米が使用されています。このように日本独自の原材料を配合することで、世界中のファンが「日本」を感じられる唯一無二の味わいを実現しているのです。
伝統から革新へ!世界40カ国を魅了する独自の海外戦略
木内酒造の歴史は古く、1823年に庄屋として酒造りを始めたのが原点です。ビール製造への参入は1996年でしたが、当時の地ビールブームが去った後、彼らは1999年頃から海外市場へと目を向けました。画一的な味ではなく、個性を追求する戦略に舵を切ったことが、現在の成功へと繋がっています。
現在では、ビールの総販売量のうち約5割を海外での売り上げが占めています。輸出先は40カ国以上に広がり、特に米国では年間150万本が流通するほどの人気ぶりです。SNS上でも「パッケージが可愛いだけでなく、味が本格的で驚いた」といった声が世界中から寄せられ、確固たるブランド地位を築いています。
2017年には米サンフランシスコに直営レストランをオープンし、茨城産の常陸牛と共にビールを提供しています。単に製品を売るだけでなく、食文化そのものを発信する姿勢には、私も深い感銘を受けました。大手による買収劇とは一線を画し、地域色を武器にじっくりとファンを増やす手法は、地方創生の理想的なモデルと言えます。
木内酒造の挑戦はビールだけに留まりません。2019年11月末には、石岡市内の公民館を再利用したウイスキー工場の稼働が予定されています。日本酒、ビール、そしてウイスキーへ。地域資源を最大限に活かし、世界へと羽ばたく木内酒造の勢いは、今後もますます加速していくことでしょう。
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