ユニクロ柳井正会長が語る「真の原点」とは?伝説のブランドVANに学ぶ“究極の定番”と令和の創造的破壊

日本を代表する経営者、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が、自らの服作りのルーツを赤裸々に語りました。2019年11月29日、柳井氏は伝説のアパレルブランド「VAN」の創業者・石津謙介氏の息子である石津祥介氏と対談。SNSでは「ユニクロのルーツがVANだったとは驚き」「定番を疑う姿勢こそが強さの秘訣」と、大きな反響を呼んでいます。

柳井氏が高校生だった1960年代半ば、実家がVANの専門店を営んでいたことがすべての始まりでした。当時、VANが提唱した「アイビールック」は社会現象となります。これは米国の名門大学に通う学生たちの、清潔感ある着こなしを指すスタイルです。柳井氏はここで、ボタンダウンシャツなどのカジュアルウェアの基本を体系的に学んだといいます。

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「トゥデイズ・トラッド」が切り拓くアパレルの未来

柳井氏が掲げる理想の服は「トゥデイズ・トラッド(今日風の伝統)」です。伝統的なスタイルに、今の空気感を「少しだけ」加えることが重要だと説きます。トラディショナル、いわゆる「トラッド」は保守的な良さがありますが、変化を止めればただの古臭い服に成り下がります。定番アイテムこそ、常にアップデートし続ける「革新」が不可欠なのです。

現在のアパレル市場は、かつてのピーク時から4割も縮小するという厳しい状況にあります。大手百貨店ブランドが店舗閉鎖を余儀なくされる一方で、ユニクロは成長を止めていません。その背景には、かつてVANが夢見た「誰もが買える、質の高い生活ファッション着」という理想を、圧倒的な規模と機能性で実現した執念があるのでしょう。

かつて服は、仕事や社会的な階層を象徴する記号でした。しかし柳井氏は、現代を「個人の自己表現の時代」と定義します。銀行などの保守的な組織でもカジュアル化が進む今、求められているのは着心地が良く、かつ他者への敬意を失わない服です。ネット専業ブランドが台頭する中でも、製造のノウハウを極めた「作る力」こそが最大の武器となります。

編集者からの一言:なぜ今、ユニクロは強いのか

今回の対談から透けて見えるのは、柳井氏の「温故知新」の精神です。単に安い服を売るのではなく、VANが築いた日本のカジュアル文化を現代の技術で再定義しています。特に、元「ポパイ」編集長の木下孝浩氏を招いて創刊したフリー誌「ライフウェアマガジン」の成功は、服だけでなく「暮らしの提案」というVANのDNAを継承している証拠です。

市場が飽和していると言われる日本ですが、アジア全体を見れば中産階級が爆発的に増加している成長産業です。固定観念を壊す「創造的破壊」を繰り返し、定番を磨き続ける姿勢。これこそが、激動の時代を生き抜くための唯一の正解なのかもしれません。ユニクロが目指す「究極の普段着」の進化から、今後も目が離せそうにありません。

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