円安が呼び込む「新・外需」の熱狂!訪日ゲスト3000万人時代の光と影に迫る

2019年11月18日、日本の観光地はかつてない活気に包まれています。かつて1000万人を目標に掲げていた訪日客数は、2013年にその壁を突破し、2018年にはついに3000万人という驚異的な大台を記録しました。この背景には、アジア諸国の経済成長やビザ発給要件の緩和がありますが、何よりも「円安」という強力な追い風が吹いていることが大きいでしょう。

「円安のおかげで、1000バーツ(約3500円)も得をした気分!」と語るのは、2019年7月に北海道を訪れたタイ人医師のボーさんです。本来なら宿泊費に消えるはずだったお金で、自分へのご褒美にバッグを購入したといいます。SNSでも「日本は今、買い物天国」「驚くほど安く贅沢ができる」といった投稿が拡散されており、為替の恩恵がリアルな消費行動に直結している様子がうかがえます。

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数字で見るインバウンドの衝撃と地域経済の変容

日本銀行が異次元の金融緩和をスタートさせた2013年以降、円安傾向が定着したことで、日本旅行の「割安感」は世界共通の認識となりました。実際に、訪日客の多い主要20カ国を調査したところ、韓国や台湾を含む9つの国・地域で円安と訪日客の増加が鮮明に連動しています。一方で、円高によって客足が伸びた国は存在せず、インバウンド市場がいかに為替に敏感であるかが浮き彫りになりました。

この勢いは日本の財布も潤しています。2018年度の訪日客による実質消費額は4兆円を超え、わずか5年で3倍という急成長を遂げました。これにより、日本人が海外で使うお金よりも、外国人が日本で使うお金が多いことを示す「旅行収支」は、2014年度に55年ぶりの黒字を達成しています。ホテル開発が進む地域では地価が上昇し、地方経済を活性化させる救世主となっているのです。

円安頼みのリスクと「人財」確保という新たな壁

しかし、この好景気に死角がないわけではありません。特に懸念されるのが、訪日消費の約3分の1を占める中国の動向です。米中貿易摩擦の影響で「人民元安」が進めば、彼らの購買意欲が減退する恐れがあります。2015年から2016年にかけての元安局面で、爆買いブームが一時冷え込んだ記憶は新しく、内需型だった小売業が為替に翻弄されるリスクを常に抱えています。

さらに深刻なのは、労働力としての外国人受け入れです。2019年4月に新設された「特定技能」制度は、5年で約34万人の受け入れを目指していますが、2019年11月8日時点での取得者はわずか900人足らず。稼いだお金を母国に送りたい労働者にとって、円安は「日本で働く魅力」を削ぐ要因となります。給与水準が高く、英語が通じる欧米諸国との人材争奪戦に、日本は苦戦を強いられています。

私は、インバウンドによる経済効果を認めつつも、日本が「安さ」だけを売りにする国になってはいけないと強く感じます。円安というドーピングに頼るのではなく、日本でしか味わえない唯一無二の体験価値を磨き、高くても選ばれる国へと進化すべきではないでしょうか。為替に左右されない骨太な成長戦略こそが、令和の日本経済には不可欠であると確信しています。

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