2020年度から新たに導入される「大学入学共通テスト」について、受験生や保護者の間で動揺が広がっています。これまでのセンター試験に代わり、受験生の思考力や表現力を深く問うための新制度ですが、その根幹をなす国語と数学の「記述式問題」に関して波紋を呼ぶ発表がありました。
記述式問題とは、用意された選択肢から正解を選ぶのではなく、自らの言葉で文章を組み立てて解答する形式のことです。この採点業務を約61億6000万円で国から受託した学力評価研究機構が、2019年11月12日に本番に向けた準備状況を明らかにしました。
同機構は教育大手ベネッセホールディングスの100パーセント子会社にあたります。ベネッセの広報担当者は、世間から採点の質に関する不安や疑問の声が上がっていることを重く受け止め、今回の説明に至ったと述べています。
採点を担うのは元教員や大学生
発表された内容によると、約50万人規模の受験生が参加する共通テストにおいて、およそ1万人もの採点者が必要になる見込みです。同機構は、高校の元教員や大学生の中から、事前の学力試験や面接を通過した人物を採点者として採用する方針を示しました。
採用後も複数回の研修を実施し、採点基準の徹底を図るとしています。具体的な採点体制としては、1つの解答に対してまず2人の1次採点者がチェックを行い、もし評価が割れた場合はより習熟度の高い上位採点者が判断を下す仕組みとなっています。
仮に1次採点者の評価が一致した場合でも、最終的には上位採点者が確認を行うため、設問ごとに必ず3人以上が関与する体制が敷かれます。同機構は、これらの対策により公平でブレのない採点が可能になると自信を覗かせています。
SNSで噴出する不安の声とGTECの対応
しかし、この発表を受けてSNS上では批判や懸念の声が殺到しているのが実情です。「自分の人生を左右する大学入試の採点を、アルバイトの大学生に任せて本当に大丈夫なのか」「たった20日間という短期間で、50万人分の複雑な記述解答を正しく処理できるわけがない」といった厳しい意見が飛び交っています。
私自身も、メディア編集者としての立場から、この体制には強い危機感を抱かざるを得ません。人間の手による記述式の採点である以上、どんなに研修を重ねても主観や疲労によるブレを完全に排除することは困難だからです。未来ある受験生の努力が、採点者の運によって左右される事態は絶対に避けるべきでしょう。
さらに混乱に拍車をかけるように、英語の民間試験活用が見送られた問題に関連して、ベネッセコーポレーションは2019年11月13日に新たな発表を行いました。英語の「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測定する民間試験「GTEC」について、当初予定していた共通テスト向けの実施を見送るというものです。
もともとは2020年6月から2020年11月にかけて共通テスト向けに4回実施する計画でしたが、これを撤回し、代わりに学校単位で高校3年生を対象とした試験を2回行う方針へと変更されました。制度の根幹が次々と揺らぐ現状において、現場の高校生たちが抱えるストレスは計り知れません。国や関係機関は、若者たちの未来を第一に考えた責任ある決断を下すことが求められます。
コメント