日本の教育界が大きな転換期を迎える中、2019年11月19日に開催された閣議後の記者会見にて、萩生田光一文部科学大臣が大学入学共通テストに関する極めて重要な方針を打ち出しました。焦点となっているのは、2021年1月に実施を控えた初回テストでの「記述式問題」導入です。大臣は、受験生自身が行う自己採点と実際の採点結果に生じる「ズレ」について、改めて詳細な検証を行う意向を表明しました。
なぜ今、この自己採点の精度がこれほどまでに議論の的となっているのでしょうか。記述式問題においては、選択肢から選ぶマークシート方式とは異なり、正答の条件を正確に把握して自分の回答を客観的に評価しなければなりません。受験生はこの自己採点の結果を基にして、最終的な出願先となる大学を決定します。もしこの予測が大きく外れてしまえば、人生を左右する進路選択に致命的な混乱を招くリスクがあるのです。
過去のデータが示す現実は、想像以上に厳しいものでした。2018年に実施された試行調査(プレテスト)の結果によれば、国語における自己採点と実際の成績の一致率は、わずか7割程度にとどまっています。残りの3割もの受験生が、自分の実力を正しく把握できていないという現状は、公平性が重視される入試において見過ごせない課題と言えるでしょう。SNS上でも「これではギャンブルと同じだ」「不安で夜も眠れない」といった切実な声が溢れています。
こうした事態を重く受け止めた萩生田大臣は、改善策として正答の基準や条件を高校側へより分かりやすく周知していく考えを示しました。さらに、大学入試センターと協力して、これらの「ズレ」が解消されているかを確認するための新たな検証方法を検討していくと述べています。受験生の努力が正当に評価される仕組みづくりは、新制度の信頼性を保つための最低条件であり、文科省の迅速かつ透明性の高い対応が強く求められています。
英語民間試験導入の不透明なプロセス解明へ
一方、2020年度からの活用見送りが既に決定している英語の民間試験についても、大きな動きがありました。萩生田大臣は、導入決定に至るまでのプロセスを徹底的に検証する会議の初会合を、2019年内に開催することを明らかにしました。これまでは非公開とされ、いわば「ブラックボックス」の状態にあった関連会議の議事録についても、開催に合わせて順次公開していくという画期的な方針を打ち出しています。
私自身の見解としても、教育制度の変革には常に「納得感」が必要です。記述式の自己採点問題は、単なる技術的なミスではなく、受験生の未来を不当に揺るがす構造的な欠陥になりかねません。情報をオープンにし、現場の声を反映させる今回の検証姿勢は評価すべきですが、2021年1月の本番まで時間は限られています。机上の議論に終わらせず、混乱の渦中にいる高校生たちが安心して学業に専念できる環境を、一日も早く構築してほしいと願ってやみません。
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