持続可能な開発目標、いわゆるSDGsへの関心がかつてないほど高まっています。2019年12月02日に発表された日本経済新聞社の「SDGs経営調査」によれば、多くの日本企業が気候変動を単なる環境問題ではなく、経営を左右する重大なリスクとして捉え始めている実態が浮き彫りになりました。
今回の調査結果において特に注目すべきは、全体の約4割にのぼる企業が、気候変動が自社の業績に与える影響の分析を既に開始している点でしょう。SNS上でも「もはや環境対策はボランティアではなく、企業の生存戦略だ」といった、経営層や投資家からの鋭い指摘が相次いでいます。
具体的には、43.4%の企業が気候変動に伴うコストやリスクを分析済みと回答しており、情報の透明性を高める動きも加速しています。既に29.4%の企業が分析結果を公表していますが、2019年以降に開示を予定している企業を含めると、その割合は約半数にまで達する見込みです。
ピンチをチャンスに!気候変動から生まれる革新的な新ビジネス
興味深いことに、企業は気候変動を脅威として恐れるばかりではありません。対策そのものを「新たな事業機会」と捉え、攻めの姿勢に転じる動きが活発化しています。調査では約4割の企業が、環境変化に対応した新製品やサービスの創出に向けた分析を行っていることが分かりました。
例えばパナソニックは、2019年04月に屋外用ミスト設備「グリーンエアコン」を商品化し、深刻な熱波への解決策を提示しました。また、カメラとセンサーを活用して津波や高潮を遠隔監視するシステムを構築するなど、持てる技術を防災分野へ見事に転換させているのです。
住宅大手の大和ハウス工業も、2019年04月に「災害に備える家」を発売して大きな反響を呼びました。太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、たとえ悪天候が続いても約10日間は電気や給湯を維持できる仕組みは、激甚化する自然災害に対する一つの理想形と言えるでしょう。
私は、こうした企業の動きこそが日本経済の次なる起爆剤になると確信しています。単に「二酸化炭素を減らす」という守りの姿勢から、社会の困りごとを技術で解決するビジネスモデルへの転換は、SDGsの理念である「誰も取り残さない」社会の実現に直結するからです。
サプライチェーン全体での「実効性」が今後の成否を分ける
一方で、今後の大きな課題として浮上しているのが「サプライチェーン」への広がりです。サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、販売に至るまでの「供給の連鎖」を指します。自社だけがクリーンであれば良いという時代は、終わりを告げようとしているのです。
現在、取引先に対して環境方針への理解を求める企業は約6割に達しています。ニコンのように、取引先へ二酸化炭素の削減目標を掲げるよう要請し、その進捗を厳格にチェックする企業も現れました。これは「責任ある調達」がグローバルスタンダードになりつつある証拠です。
しかし、供給網全体のリスク分析まで踏み込めている企業は26.8%と、まだ道半ばの状態にあります。4割以上の企業が着手できていない現状を鑑みると、今後は取引先を巻き込んだ、より詳細で実効性のあるリスク管理の浸透が、企業の価値を左右する重要な指標となるでしょう。
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