サリエリ再評価の波が到来!佐野元春・Coccoが贈る「大人のための最新音楽レビュー」2019年冬の決定版

音楽史の闇に埋もれた真実が、2019年12月3日、ついに光を浴びることとなりました。イタリアが生んだ巨匠、アントニオ・サリエリをご存知でしょうか。映画「アマデウス」の影響で、モーツァルトに嫉妬する悪役というイメージが定着していますが、当時の彼は誰もが認める楽壇のトップランナーでした。今回、1787年に初演された彼の意欲作「タラール」が、世界で初めて全編録音され、大きな話題を呼んでいます。

本作は、モーツァルトの名作「フィガロの結婚」を手掛けたボーマルシェが台本を担当している点も見逃せません。物語はペルシャ湾の王国を舞台に、一人の兵士が王座へと上り詰めるまでの壮大なドラマを5幕構成で描いています。SNSでは「映画のイメージが180度変わった」「あまりにもモダンで驚いた」といった驚嘆の声が相次ぎ、彼の作曲家としての真の実力に、多くのリスナーが改めて目を見張っているようです。

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古楽の響きが映し出す、天才サリエリの「先進性」

サリエリの音楽的な特徴は、バロック時代から続く語るような旋律と、流れるように軽やかなメロディーを融合させた点にあります。ここで言う「バロック」とは、装飾的で感情豊かな表現を重視する17世紀から18世紀半ばの音楽様式のことです。古楽界の精鋭「レ・タラン・リリク」による演奏は、当時の楽器や奏法を再現しており、今聴いても全く古さを感じさせない、むしろ斬新な響きを私たちに届けてくれるでしょう。

私は、この録音こそがサリエリに対する不当な評価を覆す歴史的な一枚になると確信しています。特定のライバル関係ばかりが語られがちな彼ですが、この「タラール」を聴けば、彼がいかに時代を先取りしていたかが一瞬で理解できるはずです。テクニックに溺れることなく、劇的なストーリーを音楽で支える手腕は、正に宮廷楽長の名にふさわしいものです。彼の名誉が音楽の力によって回復されることは、ファンとしても喜ばしい限りです。

佐野元春とCoccoが紡ぐ、人生の光と影の物語

サリエリの古典的な美しさと対照的なのが、日本のポップスシーンを牽引し続ける佐野元春氏の新作「或る秋の日」でしょう。1980年に衝撃的なデビューを飾り、若者の熱狂を集めた彼も、2019年現在は63歳という熟成の時を迎えました。今作は人生の「秋」を迎えた男女の心の機微を捉えたラブソング集であり、派手な演出を削ぎ落としたからこそ、永遠の愛を誓う言葉に深い説得力が宿っています。等身大の言葉が胸を打つ、珠玉の作品です。

さらに、唯一無二の歌声を持つCocco氏からは、約3年ぶりとなる10枚目のアルバム「Star Shank」が届けられました。タイトルの「Shank(シャンク)」とは、アクセサリーのパーツ同士をつなぐ部分を意味します。かつての彼女を象徴していた心の深淵をえぐるような鋭さは影を潜め、アコースティックな温もりと力強いノイズが共生する、新しい音楽体験を提示しています。思春期の複雑な感情を韻に込める遊び心に、彼女の進化が感じられます。

2019年12月3日に発表されたこれらの作品たちは、ジャンルこそ違えど「人間の生」を深く見つめている点で共通しています。古典から現代ポップスまで、それぞれのアーティストが辿り着いた音楽の現在地は、私たちの日常に豊かな彩りを与えてくれることでしょう。どの作品も一聴の価値があり、年末の忙しさを忘れてじっくりと耳を傾けたい傑作揃いです。音楽の多様性を味わえる、今の状況こそがリスナーにとっての至福と言えます。

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