日本経済新聞社と日本経済研究センターが、2019年4月から6月期における主要10通貨の「日経均衡為替レート」を算出しました。この指標は、各国の経済の基礎的条件、いわゆる「ファンダメンタルズ」に照らし合わせた通貨の理論上の価値を示すものです。今回の調査結果で特に注目を集めているのが、韓国ウォンや英ポンドに見られる顕著な「割安感」でしょう。
調査によれば、韓国ウォンは理論上の適正水準と比較して7%も低い水準で推移しています。この背景には、同国の経済を支える大黒柱である半導体産業の深刻な冷え込みがあると考えられます。市場では将来への不安からウォンを売りに出す動きが強まっており、実力以上に価値が下がっている状態です。SNS上でも「韓国経済の先行きが不安だ」「旅行に行くなら今がチャンスか」といった多様な反応が飛び交っています。
世界経済の荒波に揉まれる主要通貨の現在地
一方で、イギリスの通貨であるポンドも5%ほどの割安水準にあります。こちらは欧州連合(EU)からの離脱問題、いわゆる「ブレグジット」の影響で、国外からの投資が冷え込んでいることが主な要因と言えるでしょう。また、中国人民元についても、算出された均衡レートである1ドル=6.94元に対し、足元の相場は7元を割り込んでおり、市場ではやや「売られすぎ」との評価がなされています。
対照的に、驚異的な強さを見せているのがタイバーツです。経常黒字が非常に高い水準で維持されているタイは、投資家にとって格好の資金避難先となっており、均衡レートを10%近くも上回る「独歩高」の様相を呈しています。ここで言う「経常黒字」とは、貿易や投資などで国全体が稼いだ利益を指しますが、この安定感がバーツ買いの安心感に直結しているのは間違いありません。
編集者としての私見を述べさせていただければ、為替レートは単なる数字の羅列ではなく、その国の「健康診断書」のようなものです。今回のデータは、半導体への依存度が高い韓国経済の脆さを浮き彫りにした形となりました。短期的な投機に惑わされず、政府債務や対外純資産といったマクロ指標に基づいた「理論値」を知ることは、複雑な世界情勢を読み解く上で極めて重要なコンパスになるはずです。
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