2019年11月2日に幕を閉じたラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は、まさに日本スポーツ史に刻まれる金字塔となりました。国際統括団体であるワールドラグビーが「史上最も偉大な大会」と最大級の賛辞を贈った通り、運営と興行のどちらをとっても非の打ち所がない成果を収めています。今後の日本が国際的なスポーツイベントを招致する際、今大会のプロセスは間違いなく最高の手本として語り継がれていくことでしょう。
特筆すべきは、大会を経済的に支えた驚異的な数字です。総収入630億円のうち、入場料収入だけで350億円を叩き出しました。SNS上でも「チケットが全く取れない」「スタジアムの熱気が凄まじい」といった声が溢れましたが、実は大会前の世間の評判は決して芳しいものではありませんでした。しかし、蓋を開けてみれば約180万枚用意されたチケットの99.3%を売り切るという、驚異的な完売劇を見せたのです。
データの裏側に潜む「どぶ板」精神と緻密な戦略
この劇的な成功の裏側には、徹底的な「どぶ板」営業に近い地道な努力がありました。どぶ板とは、本来は選挙などで一軒一軒を泥臭く回る手法を指しますが、今大会の組織委員会はデジタルとアナログの両面でこの精神を体現したのです。彼らは詳細な客層分析を繰り返し、どの層にどのようなアプローチが有効かを細かく検証しました。ターゲットを絞り込み、着実にファンをスタジアムへ誘うための戦略が、見事に的中したと言えます。
編集者としての私見ですが、この成功は単なるラグビーブームのおかげではありません。運営側が「日本でラグビーは馴染みが薄い」という逆風を冷静に分析し、あえて手間のかかる個別具体的なマーケティングを徹底した結果だと感じます。2019年12月03日現在の状況を鑑みても、この熱狂は一時的な流行に留まらず、スポーツビジネスにおける「勝てる仕組み」のモデルケースを確立したのではないでしょうか。
もちろん、完売という結果に甘んじることなく、今後はこの熱量をいかに次世代へ繋ぐかが課題となります。今回のチケット戦略で得られた膨大なデータや、新規顧客層の属性を分析し続けることで、ラグビーという競技の未来はさらに明るいものになるはずです。世界を驚かせた日本大会のノウハウは、次なるスポーツの祭典へと渡される「黄金のパス」になるに違いありません。
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