2019年11月2日に横浜で行われたラグビーワールドカップ決勝戦は、南アフリカがイングランドを圧倒して幕を閉じました。この試合で南アフリカが見せた戦術は、まさに「原点回帰」と呼ぶにふさわしい徹底したものでした。彼らは自慢のフォワード(FW)陣による力強いプレーと正確なキックを軸に据え、スピード豊かなバックス陣へ安易に展開しない堅実な攻めを貫いたのです。
特に象徴的だったのは、スクラムで相手の反則を次々と誘い出したパワーの差でしょう。ラグビーにおける「スクラム」とは、反則などの後に両チームのFWが組み合う再開方法ですが、南アフリカはここで完全に主導権を握りました。SNS上でも「南アの壁が厚すぎる」「スクラムの破壊力が異次元」といった驚きの声が溢れ、その圧倒的なフィジカルの強さが世界中のファンを虜にしたのは記憶に新しいところです。
鉄壁の防御と戦略的なキックがもたらした勝利
守備面においても、南アフリカの規律正しさは群を抜いていました。選手が倒れ込んで密集状態となる「ラック」が形成された後、防御ラインを立て直すスピードが極めて速かったのです。数多くのタックルを繰り出しながらも精度が全く落ちず、イングランドの攻撃を完璧に封じ込めました。南アフリカのパス回数は相手の約7割に留まりましたが、効率的に陣地を挽回するキックを多用し、ミスによる失点リスクを最小限に抑えています。
一方のイングランドは、準決勝のニュージーランド戦で出し切ってしまったのか、決勝という最大の舞台にピークを合わせる調整力で南アフリカに一歩譲った印象を受けます。どれほど苦しい状況でも、自分たちの伝統的なスタイルを曲げずに信じ抜く重要性を、南アフリカは改めて証明してくれました。一度は1次リーグ初戦で敗北を喫しながらも、そこから守備主体の戦いへと立ち返った彼らの修正能力は、まさに王者の風格です。
日本大会の成功とラグビー界が直面する次なる課題
アジア初開催となった今回のW杯は大成功を収めましたが、同時に「ティア2」と呼ばれる中堅国の格差という課題も浮き彫りになりました。日本を除けば、フィジーやサモアといった島嶼国は準備不足や財政難に苦しんでいます。彼らのようなポテンシャルの高いチームが強豪国と対等に戦うためには、国際的な支援や試合機会の確保が不可欠でしょう。ラグビーのグローバルな発展のためには、こうした国々を底上げする仕組み作りが急務です。
日本代表にとっても、2019年11月4日現在は新たなスタートラインに過ぎません。これまでは手厚い強化環境がありましたが、今後は自らの交渉力で強豪国とのテストマッチ(代表戦)を勝ち取る必要があります。1995年の大敗から24年かけてここまで登り詰めた日本の歩みは、世界中の国々に勇気を与えるはずです。いつの日か再び日本でワールドカップを開催し、さらに進化したラグビー文化を世界に見せつける日が来ることを切に願っています。
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