世界最高峰の金融機関である米ゴールドマン・サックスで、企業の経営権や戦略に影響を与える「アクティビスト(物言う株主)」対策の指揮を執るアヴィナッシュ・メロートラ氏が、日本経済新聞の取材に対して現在の緊迫した市場環境を明らかにしました。
メロートラ氏によれば、米国の巨大投資ファンドは今、激戦区となった本国市場を飛び出し、新たな投資先として日本市場に熱烈な視線を注いでいるようです。SNS上でも「ついに日本がターゲットに」「経営陣の緊張感が高まる」といった驚きの声が広がっています。
なぜ今、日本の大企業が「物言う株主」に狙われるのか
2019年12月04日現在の世界情勢を見ると、米国では金融危機後の約10年間でアクティビストが急成長を遂げましたが、現在は米企業側が先回りして問題を解決する自衛策を講じているため、投資家にとっての「獲物」が減少しているのが実情です。
そこで浮上したのが日本市場です。日本には世界規模で展開する優良企業が数多く存在する一方で、負債を有効活用せず、株価が本来の価値よりも低く見積もられている「割安」な銘柄が目立ちます。これこそが、資金力豊富な巨大ファンドが食指を動かす最大の理由なのです。
ここで言う「アクティビスト」とは、単に株を持つだけでなく、経営陣に対して増配や自社株買い、あるいは不採算部門の売却などを強く迫る投資家のことを指します。彼らは単なる批判者ではなく、企業価値を無理やりにでも引き上げようとする「市場の圧力団体」といえるでしょう。
ゴールドマン・サックスが提唱する「最強の防衛策」
過去5年間で世界のアクティビスト対策案件の75%を担ってきたゴールドマン・サックスは、日本企業に対して「事前の備え」の重要性を説いています。攻撃を受けてから慌てるのではなく、あらかじめ自社の弱点を分析し、投資家が納得する対話を重ねることが不可欠です。
注目すべきは、彼らが「経営がボロボロの会社」ではなく、むしろ「経営がそれなりに順調な会社」を好むという点です。彼らの狙いは経営陣の刷新そのものではなく、既存の組織を維持したまま、効率化によって利益を最大化することにあります。
私は、この流れを日本企業が「脱皮」する絶好の機会と捉えるべきだと考えます。外圧に怯えるのではなく、自らガバナンス(企業統治)を強化し、透明性の高い経営へと舵を切ることで、結果として全ての株主や従業員に利益をもたらす健全な成長が期待できるはずです。
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