世界的な景気の先行きに不透明感が漂うなか、投資信託(ファンド)の市場では一部の銘柄に圧倒的な人気が集中するという、極めて対照的な光景が広がっています。2019年11月14日現在のデータによれば、投資家からの熱烈な支持を受けているのは「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」「東京海上・円資産バランスファンド(円奏会)」「グローバル3倍3分法ファンド」という3つの有力シリーズです。
驚くべきことに、年間資金流入額のトップ10のうち、実に半数をこれら3シリーズに関連するファンドが占めています。過去1年間の動きを振り返ると、この精鋭たちには約1兆200億円もの巨額資金が流れ込みました。一方で、それ以外の約5500本にのぼる膨大なファンドからは、合計で約1兆800億円もの資金が流出しているという衝撃的な事実が浮かび上がっています。
SNS上では、この「3強独占状態」に対して「選ぶべき銘柄が明確になった」という前向きな意見がある一方で、「特定のファンドに頼りすぎるリスク」を懸念する声も散見されます。しかし、厳しい市場環境で着実に成果を上げている実績は、多くの個人投資家にとって何物にも代えがたい安心材料となっているのでしょう。今の投資信託市場は、まさにこの3つのシリーズ以外はほぼ売れていないと言っても過言ではない、特異な状況にあります。
不況に強い銘柄の正体と独自の運用戦略
まず「グロイン」の愛称で親しまれるピクテのファンドは、世界中の電力やガスといった公益企業の株式を投資対象としています。こうした「ディフェンシブ(防衛的)」な銘柄は、景気が悪化しても需要が変動しにくいため、守りに強いのが特徴です。また、東京海上の「円奏会」は、日本国内の資産のみを組み入れる「バランス型ファンド」であり、特に値動きの安定した国内債券の比率を高く設定することで、リスク回避を優先する層に選ばれています。
そして今、最も注目を浴びているのが「3倍3分法」です。これは国内外の株や債券、さらに不動産投資信託である「REIT(リート)」に分散投資を行いつつ、先物取引を活用して投資額の3倍の運用効果を目指す「ブル(強気)型」の戦略を採っています。特に先進国の債券先物を巧みに活用しており、低金利環境でも高いパフォーマンスを狙える点が、目の肥えた投資家たちを魅了している要因といえるでしょう。
編集部としては、この過度な集中は「投資家の保守化」と「効率性の追求」が同時に起きた結果だと分析しています。不確実な時代だからこそ、単なる分散ではなく「下落局面での強さ」や「レバレッジ(てこ)を利かせた賢い運用」が求められているのです。自分自身のライフプランに照らし合わせ、これら定評のあるファンドをポートフォリオ(資産構成)の軸に据えることは、現時点において極めて賢明な選択肢となるはずです。
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