将来への不透明感が漂う現代、ごく普通の会社員たちの間で「不動産投資」という選択肢が急速に市民権を得ています。かつては資産家だけの特権だった大家業ですが、最近では年収400万円から500万円程度の層が主役となっているのです。2019年12月05日現在のデータによると、東京都内に住む41歳の会社員が、初めての投資でいきなり都心のワンルームマンションを4部屋、総額8000万円分も購入した事例が報告されており、その勢いは目を見張るものがあります。
このブームの背景には、2012年から始まったアベノミクス以降の低金利政策があります。銀行に預けても増えない時代、5%から10%という高い利回りが期待できるワンルーム投資は、元本を重視する日本人の気質に合致したのでしょう。特に、職場の近くに住みたいという「職住近接」の需要を捉え、江東区や板橋区といった都内物件の人気が過熱しています。SNS上でも「給与以外の柱が欲しい」という切実な声が、投資への関心を後押ししている状況です。
また、近年の「副業解禁」の流れも大きな追い風となっています。パーソル総合研究所の調査では、直近3年で副業を認める企業が半数を超えました。単なるお小遣い稼ぎではなく、法人を設立して本格的に運用する30代の投資家も現れています。本業以外の安定したキャッシュフロー、つまり「現金収支」を構築することで、将来の退職や転職に備えるという、非常に合理的で現代的なリスクヘッジの形が見て取れます。
バブル再来の懸念と賢い投資家に求められる視点
しかし、光が強ければ影も濃くなるものです。日本銀行は2019年04月、不動産業向け融資が1990年末以来の「過熱」状態にあると警鐘を鳴らしました。実際、書類の改ざんが発覚したスルガ銀行の問題など、不動産投資を巡る不祥事は社会問題化しています。「安定した家賃を保証する」という甘い言葉を信じ、多額のローンを組んだ結果、家賃の減額によって返済が滞るという悲劇も後を絶ちません。
不動産投資における「利回り」とは、投資額に対する収益の割合を指しますが、これは満室であることが前提の数字です。空室リスクや、変動金利が上昇した際の返済負担増加を考慮していないケースが多く見受けられます。編集部としては、投資は「自己責任」という冷徹な事実を忘れてはならないと考えます。特に、営業電話の勧誘を鵜呑みにせず、自分の足で現地を確かめるという泥臭い努力こそが、失敗を避ける唯一の道ではないでしょうか。
かつて不動産王と呼ばれたドナルド・トランプ氏が述べた通り、重要なのは「一次情報」に直接触れることです。株式投資とは異なり、不動産は自分の目で物件の状態や周辺環境を確かめ、自らの判断で「経営」に参画できる魅力があります。2019年を生きる私たちにとって、不動産投資は夢を叶える武器にもなれば、身を滅ぼす凶器にもなり得ます。常に情報の真偽を見極める目利き力が、今まさに試されているのです。
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