【名字研究家・高信幸男】「鰻さん」や「大蛇さん」を求めて全国へ!消えゆく日本の文化「珍名」に秘められた絆とは

茨城県水戸市に拠点を置く高信幸男さんは、公務員を退官された後、名字研究家というユニークな肩書きで精力的に活動されています。南に「鰻(うなぎ)さん」、北に「大蛇(だいじゃ)さん」といった非常に珍しい名字を持つ方がいれば、すぐさま現地へ駆け付けるフットワークの軽さが持ち味です。

そこで暮らす方々から名字の由来や家系のエピソードを直接聞き取り、その価値を世に発信し続けています。名字の世界に足を踏み入れたきっかけは、意外にも高校時代にまで遡るそうです。中学校の頃とは異なり、周囲に多様な名字が増えたことに気が付いた高信さんは、知的好奇心から電話帳をめくり始めました。

そこで出会ったのが「四月朔日(わたぬき)」という、クイズのような難読名字でした。かつて旧暦の4月1日に着物の綿を抜いて衣替えをした習わしが由来だと知り、その歴史の深さに圧倒されたといいます。単なる文字の羅列ではない、日本の伝統文化としての奥深さに魅了された瞬間でした。

その後、法務省という極めて「名前」に密接した職場に身を置くようになっても、その情熱が衰えることはありませんでした。夏休みを利用しては全国の「珍名さん」を訪ね歩く日々を過ごし、2017年に退官されてからは、自宅に約700冊もの電話帳を揃えるほど研究に没頭されています。

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受け継がれる文化の危機と先祖への想い

高信さんの活動は、単なる趣味の領域を越えて、失われつつある日本文化を守る戦いでもあります。2019年8月には著書「トク盛り『名字』丼」を出版され、同時期に鹿児島県指宿市の鰻さんを訪ねましたが、そこで直面したのは、かつて10数軒あった家がわずか1軒に減っているという厳しい現実でした。

SNS上でも「自分の名字の由来を知ると、ご先祖様を身近に感じる」「消えてしまうのは寂しい」といった声が多く寄せられており、名字を通じたアイデンティティの再確認が注目されています。名字は「お金では買えない文化財」であり、それを守ることは家族の絆を深めることにも繋がるでしょう。

高信さんはテレビ出演や学校での講演を通じ、子供たちや親世代に向けて、名字から先祖を辿る大切さを説いています。一見、風変わりに見える「珍名」の裏には、その土地の風土や先祖の暮らしぶりが鮮やかに刻まれており、それを紐解く過程こそが、究極の歴史探訪だと言えるはずです。

私たちが当たり前に名乗っている名字も、実は壮大な物語の1ページなのかもしれません。高信さんのように足を使って情報を稼ぐスタイルは、デジタル化が進む現代だからこそ、より一層の重みを持って響きます。誰しもが持つ「名前」という最小単位の文化に、もっと光が当たるべきだと強く感じます。

多才な顔を持つ高信さんの社会貢献と故郷への愛

名字研究家としての顔を持つ一方で、高信さんは司法書士としても多忙な毎日を送っています。水戸人権擁護委員協議会の委員を務め、市民の悩みにも寄り添っています。ここで言う「人権」とは、最近話題のセクハラやパワハラなど、企業にとっても避けては通れない重要な課題を含みます。

2019年11月24日には、水戸市で開催されたサッカーの試合会場にて、プラカードやチラシを用いた啓発活動に励みました。法律の専門家としての知見を活かし、差別やハラスメントのない社会を目指す姿は、名字の研究で見せる「人間愛」とも深く通じているように見受けられます。

さらに、高信さんは故郷である茨城県大子町の復興にも心を砕いています。2019年に発生した台風19号による甚大な被害を憂い、講演の場では必ず町の魅力をPRされているそうです。自らも年に30日ほどは大子町の田んぼに足を運び、土に触れながら米作りに勤しんでいらっしゃいます。

名字を追い、法律で人を守り、故郷の再生を願う。高信さんの活動の根底にあるのは、常に「人」への温かな眼差しです。自身の研究や仕事を通じて、生まれ育った里を励ましたいというその純粋な願いは、多くの人々の心に希望の灯をともし続けるに違いありません。

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