2020年の東京五輪開幕まで残り231日と迫るなか、バドミントン界の熱気が最高潮に達しています。2019年12月1日に決勝が行われた全日本総合選手権。男子シングルスで圧倒的な強さを誇る桃田賢斗選手や、世界最高峰の争いを繰り広げた女子ダブルスなど、注目カードが目白押しでした。その中でも一際、観客やメディアの心を打ったのは、女子シングルスを制した奥原希望選手(24歳、太陽ホールディングス所属)の真っすぐな決意ではないでしょうか。
彼女の視線の先には、常に「東京五輪での金メダル」という明確なゴールが存在しています。「私の目標は東京五輪。すべての大会は課題を持って取り組むための過程」と言い切るその姿には、迷いなど微塵も感じられません。SNS上でも「これほどまでに自らを律するアスリートは稀有だ」「奥原選手の言葉には重みがある」と、彼女のストイックな姿勢を称賛する声が数多く寄せられており、その覚悟がファンにも深く浸透している様子が伺えますね。
奥原選手は2018年末に所属企業を離れ、スポンサー契約を結ぶ「プロ選手」へと転身しました。これは、五輪に向けてトレーニングや環境のすべてを自己管理し、競技に100パーセント集中するための大きな決断です。自国開催の五輪という、アスリートにとって一生に一度あるかないかの大舞台を競技生活の集大成と位置づける彼女にとって、プロ化は夢を実現するために不可欠なステップだったのでしょう。
世界ランク1位を経験してもなお続く、飽くなき進化への渇望
2019年10月には、日本人女子として初めて世界ランキング1位に上り詰める快挙を成し遂げました。しかし、本人の自己評価は驚くほど冷静です。世界選手権を含め、プロ転向後の国際大会では決勝で敗れる展開が続いており、優勝から遠ざかっている現実を重く受け止めています。彼女がライバルとして名指しするのは、インドのシンドゥ・プサルラ選手や山口茜選手ら強豪5名。現状のままでは頂点に届かないと、自分を客観的に分析しています。
奥原選手の真骨頂は、論理的に勝機を見出す「理詰め」の思考にあります。自らの武器である「フットワーク」を2019年10月から根本的に見直し、さらなるスピード向上を図ってきました。身体能力だけで押し切るのではなく、緻密な戦略と徹底した自己管理によって高みを目指す彼女のスタイルは、まさに「努力する才能」の結晶です。決して恵まれた体格とは言えない彼女が、世界のトップで戦い続ける理由はここにあるのだと確信します。
私は、アスリートが特定の大会を神格化する「五輪至上主義」には少し慎重な立場ですが、奥原選手の潔いまでの徹底ぶりには、一種の清々しさを覚えざるを得ません。自分に厳しく、一切の妥協を許さない彼女が、全日本総合の決勝で見せた圧倒的なスピードは、冬の努力が結実しつつある証です。2020年の夏、最高の準備を整えた彼女が、表彰台の真ん中で満面の笑顔を輝かせる瞬間を、日本中が心待ちにしていることでしょう。
コメント