🚀シリコンバレーを目指す 六甲山麓の起業家拠点「谷上プロジェクト」の魅力とChatworkの挑戦

神戸市の六甲山北側に位置する山麓の街、谷上。この地が今、新しいビジネスを生み出す起業家(スタートアップ)たちが集う、熱いスポットとして注目を集めているのをご存知でしょうか。きっかけは、ビジネスチャットサービスで知られるChatwork(チャットワーク)が主導する民間の取り組み「谷上プロジェクト」です。このプロジェクトは、アメリカのIT企業が集積するシリコンバレーのように、起業に適した「田舎」を創り出すことを目指し、2018年5月から始動しました。

谷上駅は、神戸市中心部の三宮からわずか10分、山陽新幹線の新神戸駅からは8分という、抜群のアクセスを誇ります。交通の利便性の高さと、自然豊かな環境の良さが魅力となり、「谷上プロジェクト」はじわりと成果を出し始めているようです。Chatworkは、谷上駅に直結する場所にコワーキングスペース「ドットミー」を開設し、月額8,000円で利用できる会員制の拠点を提供しています。コワーキングスペースとは、異なる企業や個人が場所を共有しながら働くオフィスの形態を指しますが、ここでは単なる作業場所ではなく、起業家精神を育むコミュニティ形成の場となっているのです。

当初6社だったという拠点事業者も、現在は11社に増加しました。経営支援や地域活性化を担う事業者が集まり、ここでの相互交流は非常に活発です。その一つ、経営支援を行うココロザシ(神戸市)の守岡裕志最高経営責任者(CEO)は、「メンバーに『株式会社谷上』という意識が芽生えている。皆で協力し、一緒に街を盛り上げていこうという連帯感が生まれている」と、この場の特異な雰囲気を表現しています。実際に、近くの空き店舗を活用したマッサージ店「ノアココロン」の開店や、北神急行のキャラクター「北神弓子」と連携した駅構内でのイベント開催など、谷上の街を活性化させる具体的な動きが次々と生まれています。

また、谷上をきっかけに学生起業家も誕生しています。企業向け広報支援を手掛けるスプレッドの嶋田健太氏(24歳)は、「谷上のイベントに参加することで刺激を受け、様々な人から相談に乗ってもらうことができた」と語るなど、このプロジェクトが持つインキュベーション(起業家育成)機能は確実に機能していると言えるでしょう。プロジェクトの開始から1年が経過した2019年6月現在、Chatworkの山本正喜CEOは、「この取り組みは地に足がついてきた」と手応えを感じています。

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起業家を惹きつける環境と神戸市の強力な後押し

「ドットミー」の魅力は、単に場所を提供するだけではありません。Chatworkの山本CEOをはじめとする運営メンバーが交流の場にいるため、起業に関する具体的なアドバイスを気軽に受けられる点も、大きな特徴です。さらに、交流を深める狙いから、2019年春からはビールなどの提供もスタートしました。「近隣の住民の方々にも気軽に利用してもらいたい」という意図から、起業家の卵である学生や高校生に対しては、施設利用が2時間無料となる無料開放も開始されました。これにより、神戸大学の学生や地元の高校生などとの交流も増え、会員登録者数は約60名にまで拡大したといいます。

この民間主導のプロジェクトに対し、神戸市も強力な後押しをしています。市は、この取り組みがスタートアップ支援に貢献すると評価し、ふるさと納税を活用した資金支援を行っているのです。スタートアップとは、革新的なビジネスモデルで短期間に急成長を目指す企業を指す言葉です。また、ふるさと納税は、自分が選んだ自治体へ寄附をすると、その金額に応じて所得税・住民税が控除される制度です。市は、「新神戸駅から1駅という好立地を最大限に活用し、新規事業を始める人々が増加している」と、このプロジェクトを高く評価しています。

さらに、谷上へのアクセスは、今後ますます良くなる見込みです。神戸市は、北神急行電鉄を2020年度にも市営化する方針で、筆頭株主である阪急電鉄と既に合意に至っています。これにより、谷上から新神戸を経由し、市営地下鉄の三宮までの区間の運賃が、現在の540円から半額程度に引き下げられる見通しです。Chatworkの山本CEOは、「移動コストが安くなれば、もっと気軽に谷上を訪れる人が増えるだろう」と、さらなる発展への期待を寄せています。

SNSでも、この「谷上プロジェクト」に対する反響は広がりを見せています。「六甲山の麓でビジネスが生まれるのは面白い」「自然が近くて集中できそう」「新神戸から近いのは魅力的だ」といった声が散見され、都会の喧騒から離れた場所で、創造性とコミュニティを重視する新しい働き方への共感が集まっているようです。都市の利便性と自然の豊かさを兼ね備えた谷上は、日本の起業家精神を育む、まさに理想的な環境となりつつあると言えるでしょう。今後も、この地からどのような革新的な事業が生まれるのか、その動向に注目していきたいと考えます。

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