東京株式市場が、かつてないほどの熱気に包まれています。2019年11月14日に東京証券取引所が発表した売買動向によれば、海外投資家が11月第1週(2019年11月5日から2019年11月8日まで)に、現物株を4602億円も買い越しました。これで6週連続の買い越しとなり、約2年ぶりとなる異例の長期買い局面が続いています。SNS上でも「ついに出遅れていた日本株のターンが来たか」「海外勢のパワーが凄まじい」と驚きの声が上がっています。
そもそも「買い越し」とは、一定期間の売買において、売った金額よりも買った金額の方が多い状態を指します。世界中のマーケットを動かす海外勢が、日本の市場に対して強気の姿勢を見せていることは、相場全体を押し上げる大きな原動力となるでしょう。特に今回は現物株だけでなく、将来の価格を予想して取引する「先物」についても、5週連続で買い越しを記録しました。投資家たちの期待感は、数字として如実に表れていると言えるはずです。
米中協議への期待感と景気回復のシナリオ
なぜ、これほどまでに資金が日本へ流れ込んでいるのでしょうか。その背景には、長らく世界経済の懸念材料だった米中貿易協議に進展の兆しが見え始めたことが挙げられます。対立が緩和されることで、冷え込んでいた景気が再び上向くというシナリオを、多くの投資家が描き始めました。こうした楽観的な見通しが広がったことで、今まで割安なまま放置されていた日本株へ「組み入れ比率」を高める、つまりポートフォリオにおける日本株の割合を増やす動きが加速したのです。
年初からの累計で見ても、2019年10月第5週に約5カ月ぶりの買い越しへと転じて以来、その勢いは増すばかりです。11月第1週には、現物と先物を合算した買い越し幅が7943億円にまで拡大しました。私は、この動きを単なる一時的なリバウンドではなく、日本市場の価値が再評価され始めた重要な局面だと捉えています。世界的な景気敏感株が多い日本市場にとって、貿易問題の改善はこれ以上ないポジティブな材料であり、投資家がこのチャンスを逃すまいとするのは当然の心理でしょう。
一方で、個人投資家や信託銀行は売り越しに回るなど、投資主体によって動きが分かれている点は興味深いところです。しかし、市場の主役である海外勢がこれほど明確な「買い」のサインを出している以上、この流れは当面の間、相場の底堅さを支える要因になるでしょう。米中の動向には引き続き注視が必要ですが、今の日本市場には、停滞感を突き抜けるための新しい風が確実に吹き込んでいると確信しています。
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