中国でフィンテックの価値が1000億ドルを超える巨大企業、アント・フィナンシャルとテンセント。今、この2強が約9億人もの決済データという「宝の山」を武器に、私たちの想像を超えるスピードで金融の常識を塗り替えようとしています。
SNSでは「財布を持たない生活が当たり前」「スマホ一つで融資から保険まで完結する利便性が恐ろしい」といった驚きの声が溢れています。2019年12月06日現在、彼らの戦略は単なる決済手段を超え、個人の行動を分析して最適な金融商品へ導く、巨大な循環システムへと進化しているのです。
「フライホイール効果」が生む圧倒的な好循環
両社の強みの源泉は「フライホイール効果」にあります。これは、一度車輪が回り始めると自重で回転が加速するように、サービスが相互に作用して成長を早める仕組みのことです。膨大な決済データが蓄積されるほど、顧客に最適な融資や資産運用を提案できるようになります。
2019年4月1日から2019年6月30日までの3ヶ月間で、モバイル決済市場の取引額は7兆8000億ドルに到達しました。もはや決済は「入口」に過ぎず、得られた行動分析データを金融機関に提供することで、より精度の高い商品開発を支援するB2Bの側面も強めています。
若者の日常を変えるクレジットと急成長の医療保険
特に注目すべきは、ミレニアル世代やZ世代の消費行動です。アントの「花唄」のように、一定期間無利子で利用できる短期分割払いは、彼らにとって借金への抵抗を感じさせない日常のツールとなっています。テンセントも新サービス「分付」でこの流れを追随する構えです。
さらに、2018年から2023年にかけて年率20%の成長が見込まれる医療保険分野も見逃せません。両社は農村部や地方都市へも、ITを駆使した共済プラットフォームを通じて浸透を図っています。政府の後押しもあり、公的な保障を補完する存在として不可欠なものになるでしょう。
中小企業の救世主となるか?進化するデータ融資
中国経済の屋台骨である中小企業への支援も加速しています。アント傘下の網商銀行は、QRコードで領収書をスキャンするだけで税務情報を把握し、わずか数分で融資を実行する驚異的な仕組みを構築しました。これにより、従来は融資を受けられなかった層にも資金が届いています。
私個人としては、この「データの民主化」が金融格差を是正する可能性に強い期待を抱いています。一方で、あらゆる行動がスコア化される社会への懸念も拭えませんが、利便性と透明性のバランスをどう取るかが、今後の世界のフィンテックにおける重要な指針になるはずです。
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