農水ファンドA-FIVEが投資停止へ!累損100億円超で迫られる官民ファンドの「出口戦略」と真価

安倍政権が掲げる成長戦略の切り札として、2013年ごろに相次いで設立された「官民ファンド」。その一角を担う農林漁業成長産業化支援機構、通称「A-FIVE」が、いよいよ大きな転換期を迎えています。財務省と農林水産省は、2021年3月31日をもって同機構の新規投資業務を停止する方向で最終調整に入りました。

本来であれば2032年度まで続くはずだった組織の寿命を大幅に縮め、解散時期を前倒しにするという異例の事態です。背景にあるのは、100億円規模という巨額の累積損失に他なりません。SNS上でも「税金を使った投資の難しさ」や「経営責任の所在」を問う声が噴出しており、政府の管理体制に厳しい視線が注がれています。

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甘すぎた採算管理と「無責任」なガバナンスの崩壊

A-FIVEは、国が発行する財投債(国の信用で借りたお金)を原資とする「財政投融資」を活用し、地方銀行などと協力して食品加工業や農業法人への出資を行ってきました。しかし、蓋を開けてみれば投資先の経営改革は思うように進まず、資産価値が下落した際に損失を確定させる「減損処理」が相次ぐ結果となっています。

特に衝撃的だったのは、投資決定に深く関わった元専務が、経営破綻した投資先のトップに対し「責任を問わない」とする覚書を交わしていた事実です。これは、組織の統治能力を意味する「ガバナンス」が完全に機能不全に陥っていたことを示しています。投資の世界において、緊張感を欠いた支援はもはや健全な育成とは呼べません。

国民負担への懸念と問われる「官」が投資する意義

2019年11月19日、江藤拓農相は会見で「抜本的な見直し」を明言しました。国が投じた約300億円のうち、100億円強が回収不能になる恐れがあるという現実は、あまりに重いものです。損失は他の公的な配当金で補填される見込みですが、投資先がさらに悪化すれば、その負担は間接的に国民に跳ね返るリスクも孕んでいます。

編集者の視点として申し上げれば、民間のリスクを補完するはずの官民ファンドが、単なる「損失の掃き溜め」になっては本末転倒です。投資とは本来、未来への期待を形にするもの。2020年度末に向けた今回の決断は、農業の産業化という崇高な理念を汚さないための、苦肉の策でありながらも必要な「外科手術」だと言えるのではないでしょうか。

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