2019年12月4日、アメリカのワシントンで開催された米中ビジネス・カウンシル主催の夕食会において、中国の崔天凱駐米大使が登壇し、緊迫する両国関係について極めて重要なメッセージを発信しました。大使は、現在進行中の貿易摩擦を隠れ蓑にして、一部の破壊勢力が過激な言説を振りまいている現状に対し、強い口調で警戒を呼びかけています。
特に大使が懸念を示したのは、「デカップリング」や「新冷戦」といった言葉が独り歩きすることです。デカップリングとは、経済やサプライチェーンにおいて特定の国同士が相互依存を解消し、切り離される状態を指す専門用語ですが、大使はこれを「極論」であると断じました。経済のグローバル化が進んだ現代において、完全に繋がりを断つことは現実的ではないという判断でしょう。
さらに崔大使は、異質な文化が対立すると説く「文明の衝突」という概念についても、不必要な分断を煽るものとして否定的な見解を示しています。会場に集まった米中両国のビジネスリーダーたちに対し、大使は現状に悲観するのではなく、むしろ取引をさらに拡大させるべきだと熱弁を振るいました。経済的な結びつきこそが、政治的な対立を回避する唯一の処方箋であると確信しているようです。
SNS上では、この発言に対して「ビジネス界にとっては希望の光だ」と歓迎する声がある一方で、「安全保障の観点を見失っているのではないか」という厳しい指摘も見受けられます。大使の言葉は、経済的な利益を最優先する企業の期待を代弁したものですが、同時に国家間の深い溝を埋めることの難しさも浮き彫りにしたといえるのではないでしょうか。
編集者の視点から見れば、崔大使の主張は極めて冷静かつ戦略的なものに感じられます。感情的なナショナリズムに流されず、具体的な数字が動く「ビジネス」の現場に解決の糸口を求める姿勢は、混乱する国際情勢における一種の安定剤として機能するはずです。互いの違いを認めつつ、共通の利益を追求する「実利主義」の重要性を、改めて痛感させられる演説でした。
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