北海道札幌市に拠点を置く「フラット合成」が、サケ・マスの養殖に欠かせない「ふ化器」の分野で、驚くべき国際展開に乗り出すことが判明いたしました。2019年12月11日、同社は2021年を目標にロシア・サハリン州へ生産拠点を新設し、ブランド初となる海外での現地生産を開始する方針を固めたのです。
1980年代という早い時期から、サハリン州の厳しい環境下でふ化器の販売実績を積み重ねてきた同社は、現地での信頼を不動のものとしてきました。今回の決断は、長年のパートナーシップをより強固なものにするだけでなく、輸送コストを劇的に削減することで、製品の価格競争力を一段と高める狙いがあると言えるでしょう。
コスト削減と日本の精密技術が融合する新戦略
具体的な計画によりますと、2021年からサハリン州のコルサコフ市にある工場を賃借する予定です。ここでは、卵を大切に育てる「ふ化槽」と呼ばれる容器など、構造が比較的シンプルな大型製品の組み立てが行われます。ふ化槽とは、サケの卵が稚魚になるまで安全に管理するための、いわば「人工のゆりかご」のような役割を果たす装置のことです。
これまで大きな課題となっていた通関手続きや厳重な梱包に関わるコストが解消されることで、販売価格を少なくとも2割から3割ほど抑えられる見通しとなりました。一方で、健康な卵と死んでしまった卵を瞬時に見分ける「検卵機」といったハイテクな精密機器については、引き続き日本国内で製造し、品質を維持したまま輸出を継続する体制を整えています。
SNS上では「北海道の技術が世界に広がるのは誇らしい」「現地生産でコストが下がれば、ロシア全土でのシェアも一気に拡大しそう」といった期待の声が上がっています。日本の繊細な「検卵」技術は世界的に見ても非常に水準が高く、このハイブリッドな生産体制は極めて合理的な経営判断ではないでしょうか。
技術者育成こそがロシア水産業界の救世主に
現在、サハリン州の現場では、水温管理や採卵、さらには機器のメンテナンスを行える熟練の技術者が圧倒的に不足しているという深刻な問題を抱えています。衛生管理や製品の取り扱いについても改善の余地が多く、日本流の丁寧な技術指導を求める声が現地から切実に寄せられているのが現状です。
これを受けてフラット合成では、2020年から札幌の拠点でロシア人社員に向けた集中的な研修を開始します。半年から1年をかけて、日本が誇る養殖ノウハウを徹底的に伝授する計画です。単にモノを売るだけでなく、現地の「人」を育てる姿勢には、同社の西崎建夫会長の強い信念が感じられます。
将来的には自前工場の建設や、ロシア人技術者の育成モデルとなる「理想のふ化場」の創設まで見据えているとのことです。私は、このプロジェクトが単なるビジネスの枠を超え、日露の経済協力における象徴的な成功事例になると確信しています。日本式の「おもてなし」に近い細やかな管理技術が、ロシアの食卓を支えるサケの資源保護に大きく貢献することを願って止みません。
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