従来の就職活動といえば、学生が企業へ向けて熱烈なアピールを行うのが一般的でした。しかし、千葉商科大学が2019年5月に開設したマッチングサイト「me R AI(ミライ)」は、その常識を鮮やかに塗り替えようとしています。これは大学自らが運営する「逆求人型」サイトという非常に珍しい試みで、大きな注目を集めています。
「逆求人」とは、学生が自分のプロフィールや強みを公開し、それを見た企業側から「ぜひ会いたい」とオファーを送るスタイルの採用手法を指します。2019年12月11日現在、キャリア支援センター長の川瀬功氏は、学生が持つ独自の個性をエッジの効いたコンテンツとして発信することの重要性を強調しており、このサイトがその中核を担っています。
SNS上では「大学がここまで踏み込んだ支援をしてくれるのは心強い」「自分の市場価値が可視化されるのは面白い」といった好意的な声が上がっています。大学が学生の背中を押し、企業との出会いをプロデュースする姿勢は、現代のニーズに合致していると言えるでしょう。
圧倒的なマッチング率を支える「刺さる」オファーの力
2019年11月下旬時点で、このプラットフォームには大学と提携する「アライアンス企業」829社が名を連ねています。企業は学生の画像や動画、自己PRをじっくりと吟味し、求める人材像に合致する学生へダイレクトにアプローチします。この熱量の高いやり取りが、就活の質を劇的に向上させているのです。
2019年9月に開催された合同説明会での実績は驚くべきものでした。企業からのオファーを受けて実際にブースを訪れた割合を示す「1次マッチング率」は、平均で20%を記録しました。特筆すべきは、学生の心に深く響くメッセージを送った企業において、その数値が50%を超えたという事実です。
企業側からは「自社のニーズに合うキーワードで検索できる効率の良さ」が支持され、学生側からは「未知の企業との出会いが視野を広げてくれた」と喜びの声が届いています。私は、この「相互理解から始まる対話」こそが、入社後のミスマッチを防ぐ最大の武器になると確信しています。
「量」から「質」へ、学びを可視化するキャリア戦略
千葉商科大学は、2014年から2018年までの第1期中期経営計画において、出会いの場を増やすことで就職率という「量」の拡大に成功しました。そして2019年度からスタートした第2期では、学生が大学で得た知見を社会に示す「質」の向上へと舵を切っています。
今後は、企業と学生が互いに質問を投げ合えるマーケティング機能や、Web面接への対応など、さらなる機能拡充を予定しています。また、大学独自の「商いの力」を証明するためのキャリアスキルシートの開発も進められており、学びが出口である就職へ直結する仕組み作りが加速しています。
編集者としての視点では、こうした「大学主導のプラットフォーム」が普及することで、学生が単なる「内定獲得者」ではなく、一人の「プロフェッショナル」として市場に評価される文化が育つことを期待します。千葉商科大学の挑戦は、日本のキャリア教育に一石を投じることになるでしょう。
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